運命と戦うことで今を奏でる
三度の飯よりアイドルが好き。こばとんです。
振り返ってみれば、小学校4年生の時に嵐と出会ってしまったのがすべての事の始まりでした。キャッチーでポップなアイドルソングが好き、というのは半分くらいの理由。残りの半分は「憧れ」という名の無いものねだりでしょうか。かっこよくて、かわいくて、一生懸命で、輝いている。歌うことが大好きだった当時の私にとって、ステージ上で輝く彼ら/彼女らはどうしようもなく魅力的に見えました。100回かかってもいいのでアイドルに転生するのが夢(?)です。
時間がかかりながらも、男性アイドルから女性アイドルへ、三次元から二次元へとアイドル趣味はとどまることなく私を侵食していきました。アイドルオタクを辞めるなんて無理無理。半身を切り取るようなものです。
普段はラブライブ!か嵐という印象が強いかもしれないですが、今日は三次元女性アイドルのお話をしましょう。私が本気で聴いてほしいアイドルの一つ。私立恵比寿中学をご紹介します。
私立恵比寿中学(通称:エビ中。以下は通称で表記)は、「永遠に中学生」をコンセプトとするスターダストプロモーションに所属する6人組女性アイドルグループです。スターダストのアイドルはエビ中にとっての姉貴分になるももクロが有名です。妹分にはチームしゃちほこ(現:TEAM SHACHI)、たこやきレインボーがいますが、ここまで知っている人はなかなかいないかもしれない。
「中学」を名乗ってはいますが、現役中学生はいません。最年少の中山莉子さんが19歳。高校生すらいなくなっちゃったね。かつて中学を卒業したメンバーは「中学5年生」などど名乗っていましたが、最近はこれも言ってない気がする。設定はグダグダですね。脱退したメンバーを「転校」って呼んだりするけどね。
ライブのことは「学芸会」と呼びます。これは今も変わりません。なお、例年夏に行う野外ライブのことは「ファミリー遠足」略して「ふぁみえん」と呼びます。ライブOvertureではファンのことを「父兄の皆様」って言ってるし、ファンは一般に「ファミリー」と呼ぶので、この辺は設定が維持されてると言えるかも。
現メンバ―は6人です。軽くご紹介。
真山りか 出席番号3番 イメージカラーは紫
最年長でアニオタなポニテの子。身体能力でも歌唱力でもグループを引っ張る。
安本彩花 出席番号5番 イメージカラーは緑
ショートヘアがチャームポイント。透き通るような声質は必聴。
星名美怜 出席番号7番 イメージカラーはピンク
一番「アイドル」らしいキャラのしっかり者。でもおっちょこちょいだったり。
柏木ひなた 出席番号10番 イメージカラーはオレンジ
ヤクルトファン。グループ1の歌唱力の持ち主。変顔が得意(?)。
小林歌穂 出席番号11番 イメージカラーは黄色
歌声も性格も暖かい癒し担当。明るくていつも笑っている。
中山莉子 出席番号12番 イメージカラーは水色。
最年少で妹分。天才的に可愛い。私が三次元で一番推している人。
私なんかにわかの領域にいる人間で、きっともっと詳しい人もいるだろうし、いろいろと付け加えたい魅力があるだろうからあえてコンパクトに。りったんの魅力はあと5000字くらい欲しいけど。
出席番号の欠番が目立つことからお気づきかもしれませんが、エビ中はかなりメンバーの入れ替わりの激しいグループです。2009年にデビューし既に11年が経過していますが、その歴史は「激動」と表現しても誇張とは言えないでしょう。
理不尽なほどの災難に見舞われるグループでもあります。メンバーの怪我や病気、挙句の果てには他界してしまうメンバーまで。
しかし、この記事ではエビ中が見舞われた「災難」のことは殊更には言及しないようにするつもりです。それは、その激動の歴史を乗り越えてきたことこそが彼女らをいつだって強くしたから。そして、そんな「最強」になった彼女たちをこそ見てほしいから。エビ中は常に最強で最高な「今」を更新し続けるグループだと思うから。
一応「アイドルソングオタク」を自称する以上は、曲と一緒に彼女たちの魅力をご紹介できればと思います。なにより曲を一番聴いてほしいし。
Episode.1 梅
結成当初のエビ中は、「キレのないダンスと不安定な歌唱力」を売りに(?)して活動していましたが、さらに言えば「サブドル」としてサブカルチャー寄りの楽曲を出していました。特にヒャダインこと前山田健一さん提供曲が多いのが特徴ですね。
『梅』はそんなエビ中の3rdシングル。自らを桜より注目されない梅に見立ててそれでも咲いている私たちを見てほしいとアピールする一曲。
この歌詞は本当にエビ中そのものを表していると思うんですよね。「人知れず ただ咲き誇る 梅の花」。決してエビ中はスター街道を大手を振って歩いてきたアイドルではありません。先輩やライバルの陰に隠れながら、それでも綺麗な花を咲かせ続けてきたエビ中。この曲はそんなエビ中にとってアンセムといえる存在の曲です。
これまでいろんなところで前山田氏の楽曲を聴いてきましたが、この曲はその中でも一番じゃないかな。とにかく聴いてくれ。あ、この曲は9人時代のエビ中ですね。小林・中山の二人は加入前です。
Episode.2 手をつなごう
両A面4thシングルのA面の一つ。ポケモンアニメのEDだったんだね。こういう「素直に良い曲」が多いのもエビ中の魅力のひとつだと思うんです。こういう素直で強い言葉をしっかり届けられるのはアイドルソングの魅力の一つじゃないかなあ。りななんの「生きてることのよろこび 今忘れちゃいけない」はあまりに響きすぎる。このパートが振り分けられたのは運命だったのかもしれん。
Episode.3 ハイタテキ!
2014年にそれまでのメンバー瑞季・杏野なつ・鈴木裕乃が転校、小林歌穂・中山莉子の二人が転入し、6thシングル『バタフライエフェクト』よりエビ中は8人体制になります。
このころはももクロが国立公演を成功させたころで、スタダアイドル自体に勢いがあったんですよね。いまMVを見ても当時の勢いを感じられる気がします。
当時立派な「モノノフ(ももクロのファンのこと)」だった私はこの曲でエビ中に出会います。個人的にはかなり思い入れの深い曲です。
キャッチーなメロディーはもちろん、コンセプトが面白いよね。「歯痛的」と「排他的」をかけてるんだよね。知らぬ間にやってくる痛みは恋も虫歯も一緒ということですか。個人的には歯医者に行くときに必ずかけてますね。なんか怖くなくなる気がするんよね。ちなみに元JUDY AND MARYのTAKUYAさんがプロデュースした曲。
MVなんだけど、これはエビ中の中でもトップクラスの出来でしょう。みんな異常にかわいい。メンバーの個性がわかりやすいMVなのでメンバーを覚えたい人はまずこれを見るといいかも。最大の魅せ場「惚れた!」のりったんもかわいいし、このPVのひなたは自分史上最高にかわいいんだけど、なんといってもこのPVで見るべきは美怜ちゃんでしょう。かわいいがカンストしてるわ。こんなの好きにならない方がおかしいでしょ。実際、ファンになってしばらくの間は星名美怜推しでした。
Episode.4 スーパーヒーロー
この曲は「エビ中」の枠を超えて好きな曲ですね。この曲だけでブログ1本書けるくらい。これが流行らないのはおかしいって。
題名「スーパーヒーロー」からわかるように、応援ソングであるこの曲。でも一味違うんだよね。スーパーヒーローなのは「誰か」でも「君」でもないんだよね。「僕ら」なの。僕らはみんなスーパーヒーローで、みんなそれぞれ「力」を秘めてる。
「頑張れ」とは絶対に言わないんだよね。僕らはみんなスーパーヒーローで、みんなそれぞれの場所で戦っているから。「だれもいつも強くないけど」、「まだまだ負けない」。敵は自分の中にいる。誰と比べても意味がない。
これだけでも素晴らしいと思うんだけど、もっとも秀逸なのは二番サビの歌詞なんです。
そうだ キミもスーパーヒーロー これ以上の悲しみはないよ
みんなそれぞれスーパーヒーローなの。みんなそれぞれ戦っている。これが素晴らしいんじゃなくて「これ以上の悲しみはない」といってみせる。
不安とか孤独と戦うことはやっぱり「悲しみ」なんだよね。この曲は、ひとつも現状を美化してくれない。悲しいことは悲しいことだし、つらいことはつらいこと。誰もがそれと戦っている。みんなスーパーヒーローなんだ。だから「これ以上の悲しみはない」。
「頑張れ」って時に無責任だと思いませんか。この曲はそうじゃない。軽率に励ましてはくれない。でもしっかり寄り添ってくれる。
人一倍の苦難とたたかうエビ中が歌うからこそ、この曲はもっと輝いて心を打ちます。絶対に聴いてほしい。私にとってとても大切な曲です。
Episode.5 8人体制までのアルバム曲たち
ご存じ、私はA面曲よりc/wやアルバム曲を聴いて生命維持をしている人です。簡単にデビューから8人体制までのアルバム曲をご紹介したいと思います。動画をつけることはできませんが、ストリーミングとかで聴いておくれやす。
なぜ8人体制まで?と思うかもしれませんが、ここまでのアルバムは『中人』、『金八』、『穴空』と漢字二文字のタイトルでコンセプトが共通しているんですよね。これ以降の話は後程。
「ちちんぷい」は『金八』収録。ライブの鉄板曲ですね。コールがとっても楽しい。おなじくライブで絶対に外せないのが『穴空』収録の「MISSION SURVIVOR」。言葉遊びみたいな歌詞も楽しいですが、これはタオルをぶん回す曲なんだよね。オタクはタオルがあったら回すんですよ。かかるだけでテンションが上がるわ。
エビ中はライブが最大の魅力だと思うのです。以下に「金八 DANCE MUSIC」の武道館ライブ動画を添付しておきます。この曲はテレビ番組のMステを題材にとった変わった曲ですね。曲の展開が楽しいよね。Mステは金九になっちゃったけど。安定した生歌とレベルの高いパフォーマンスをみてほしい。あと絶対コールするの楽しい。実はまだエビ中は現地参戦したことがありません。こんど絶対行きたい。それはそうと銀テ飛ばしすぎじゃない?
私立恵比寿中学 「金八DANCE MUSIC」迎春大学芸会~forever aiai~
『穴空』より、「全力☆ランナー」はかの杉山清彦氏が手がけた正統派アイドルソング。こういうのもいいよね。瑞々しい恋心。「ポップコーントーン」は田村歩美さん(たむらぱん)提供曲。歌詞もメロディーも独特の世界観ですが、後でも触れますがエビ中にはたむらぱんさんが欠かせません。ヒャダインもそうだしレキシの池田さんもそうだし、楽曲提供者の幅の広さもエビ中の魅力の一つですね。
Episode.6 エビクラシ―
松野莉奈さんの突然の死。あまりに衝撃的な事態ですが、その事態に前後して収録され、発売されたのが4thアルバム『エビクラシー』です。
このアルバムはタイトルが漢字二文字でないこともそうですが、全曲がアルバムオリジナル曲というかなり色合いの違うアルバムです。そして、私はこのアルバムがまた一つ、エビ中を上のステージに押し上げたと思うのです。
収録曲はとにかくレベルが高く、さらに全曲オリジナルとあってアルバム全体としてのクオリティーが高いです。最近は一曲だけ買っちゃったりシャッフルで再生することも多いと思うけど、こういうアルバムって曲順や世界観が緻密に計算されているものなので一回でもいいからCDの曲順で聴き通すといいと思いますよ。映画の世界観を下敷きにした「紅の詩」、どことなくアニメ主題歌のような爽快感とカッコよさがある「君のままで」、難解なメロディーを歌い上げる「春の嵐」。
全11曲のアルバムですが、2曲にPVがあります。
まずは「感情電車」。たむらぱんさんの曲ですね。これは外せない。
これほんとに松野さんが亡くなる前に作ったんだよね?と確認したくなるような歌詞。PVは松野さんが最後に家族旅行でいった箱根で撮影されています。深読みしたくなる曲だよね。PVの最後にりったんが「バイバイ」って言ってるのも。「感情電車」って名前の曲だけど、とにかくエビ中はどんどん「表現力」が上がっていくんです。「感情」が歌にこもってくる。それが一つ成長したのがこの「感情電車」であり『エビクラシー』だと思うの。
もう一曲は「なないろ」。7人になったエビ中にピッタリの曲だよね。作詞作曲はレキシの池田貴史さん。池田さんってレキシでは「きらきら武士」みたいなちょっとネタっぽい曲を作ってるけど、こういう曲を作るメロディーセンスはさすが。さわやかなメロディーは「セブンカラーな恋」を鮮やかに彩っています。
ところで、このPVは中山莉子さんがかわいすぎませんかね?1番でみんなで並んで歩いてるときのりったんから目が離せないんだけど。これが恋ですか。
Episode.7 YELL
7人体制時に発表された曲。立命館大学とのコラボ曲なんだよね。なのでPVの撮影場所は立命館大学のキャンパスです。エビ中とコラボしてくれる大学、羨ましすぎる。
スーパーヒーローに次ぐ、エビ中の応援ソングですね。こちらのテーマは「君らしく行け」。
自分がプロ野球選手になったら登場曲は絶対これにしますね。という拾いようのない冗談は置いておいて、注目はサビですね。
普通サビって全員で歌うことが多いと思うのですが、この曲がサビがすべてソロパートになってるんですよね。それぞれの声質が生かされているし、何より歌唱力の賜物と言えるパート分けですよね。もう「キレのないダンスと不安定な歌唱力」は過去のもの。エビ中は歌唱力もダンスも超一流のアーティストになりました。
あと、それぞれのダンスが見れるのが良いですよね。ダンスって表現や表情で結構メンバーの性格を反映すると思うんですよね。ダンスヴァージョンも挙げておきますので、ぜひそういう見方をしてみてはいかがでしょう。
私立恵比寿中学 『YELL』Music Video(ダンスヴァージョン)
Episode.8 自由へ道連れ
エビ中って不思議なアイドルで、音源より生歌で聴きたくなるんですよね。そして一瞬口パクなのかと不安になるくらい上手いの。
その魅力が一番感じられるのが椎名林檎さんの楽曲をカバーした「自由へ道連れ」のライブ映像です。公式があげてくれてるから簡単にアクセスできるのもあるけど。
カバーアルバムのアーティストのひとつとして椎名林檎さんに選ばれたこともすごいけど、どちらかと言えば色の強い曲を完全に自分のものにしているのも必見。そもそも「自由へ道連れ」自体が良い曲なので本家も併せてみてもらうとより実感できるかも。
私立恵比寿中学 「自由へ道連れ」from 椎名林檎トリビュートアルバム「アダムとイヴの林檎」
Episode.9 響
大きな悲しみを乗り越えて、7人体制で新しい道を歩き出したエビ中ですが、残念ながらその7人体制も長くは続きませんでした。廣田あいかさんが卒業を発表したからです。卒業後今はYoutuberとして活躍しています。
ついに6人体制となったエビ中が新たに放った曲、それが「響」です。
PVはこれまでのエビ中の歴史を振り返ることができるものになっていますが、この曲は「梅」を塗り替えて、新たにエビ中そのものを表現した曲だと思うのです。
未来は不確定だけど、もし明日が来なくても、世界が終わっても、この音は止まらない。
エビ中はいつも激動の歴史とともにありました。そこには大きな喜びも、そして大きな悲しみもありました。
抗いきれないほどの理不尽に見舞われても、彼女たちは成長を続けてきました。メンバーは減っても、その輝きは決して減ることはありませんでした。むしろ、別の道を歩くことになったメンバーの想いを背負って、その輝きはより強くなったように思います。
「僕は運命と戦うことで『今』を奏でる」。ブログタイトルにもこのフレーズを使わせていただきましたが、それはこのフレーズがアイドルグループ・私立恵比寿中学を最も良く表していると思うからです。
常に最高の「今」を奏で続ける彼女たちの目撃者に、あなたもなりませんか?
あまりに長くなってしまいました。「私立恵比寿中学」というストーリーを伝えるためには、どうしても2つに分けてしまいたくなかったんですよね。
このダイレクトマーケティングが誰かに届いて、もしエビ中を好きになってくれたら、こんどお話しましょうね。自分の周りには今のところなかなか「同志」がいないのです。
それではまた。こんどはいくらか短い記事を書きたいですね。