ニジガク3rdアルバム試聴動画レポート 前編

 あれだけアツくブログを書いておいて今日ようやく無敵級*ビリーバーの予約をしてきたこばとんです。

 

 無敵級*ビリーバーに関するブログ記事はこちら↓

tsuruhime-loveruby.hateblo.jp

 

 新しい取り組みとして賛否両論ありながら、すっかり安心と信頼の感があるニジガクのソロ曲ですが、5月28日より毎週木曜日に「ニジガクみゅ~じっくウィーク!」と題して3rdアルバム収録楽曲が一人ずつ公開されています。毎週楽しみに日々を送れるいい企画だと思うのですが、一方で一週間が経過するということの無情なほどの早さを感じてもいます。さて、今日はここまで発表されている4曲をまったり聴いていきましょう。

 

 

M1:Margaret 鏡の向こうの「秘密の恋」


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜1週目〜】Margaret / 中須かすみ(CV.相良茉優)

 1週目に公開されたのは中須かすみちゃんの『Margaret』。

 ニジガクのソロ曲は作詞あるいは作曲を同じ人が務め、キャラクターのイメージをより強固に、かつ確実に深めていますね。かすみん担当は作詞の鈴木エレカさん。

 なお、作曲はニジガクではおなじみとなってきたCarlos Kさん。Carlos KさんはそれまでAKB48西野カナの楽曲をプロデュースしてきた売れっ子作曲家でAqours『WONDERFUL STORIES』で初めてラブライブに携わった時は、それまでラブライブになかった曲調と、日本レコード大賞で大賞を受賞した(西野カナ『あなたの好きなところ』)経歴から、「すごい人に書いてもらえるようになった!」と話題になったのも記憶に新しいですが、ニジガクでは多くの曲を担当し、すっかりラブライブの「顔」になりつつありますね。

 曲調はJ-POPらしい明るくも綺麗なメロディーラインが特徴で、これまで『ダイヤモンド』、『☆ワンダーランド☆』とライブ映えするアイドルらしい曲を出してきたかすみんの曲とは一線を画す形に。

 

 さて、花の名前をタイトルにしてきたということは、「花言葉を調べよ」という指示と同じでしょう。問題は花言葉って調べてもサイトごとにぶれがあってどれが正解なのか分からないことなんだよな......。

 マーガレットの花言葉は「恋占い」、「真実の愛」、「信頼」。あるいは「秘密の恋」なんていうのもありますが、どうでしょう?

 「恋占い」っていうのは、マーガレットの花びらを使って恋占いをするからですね。そう、「好き」「嫌い」「好き」「嫌い」と一枚一枚めくっていくあれです。でもここではちょっと違う気がするかなあ。やっぱり「真実の愛」、「信頼」、あるいは「秘密の恋」といった方がすっきり理解できる気がしますが、どうでしょう。「いつも好きでいてくれる君にとって 一番でいたい」なんだから。

 『無敵級*ビリーバー』でもそうだったのですが、やっぱり「鏡」というのが中須かすみというアイドルを語る上で欠かせないアイテムになってくると思います。裏返して言えば、「自信の無さ」につながるともいえるかもしれません。"Mirror, mirror on the wall"。「鏡よ鏡」と鏡に問いかけるのは、自分よりかわいい人がいることに対する、自分が一番でないことに対する不安によるものではないでしょうか。

 虹のストーリーでは明確に上原歩夢ちゃんと中須かすみちゃんのふたりが、ライバル意識をもって描かれるだけに、かすみんが常日頃鏡と向き合って「かわいい」を磨いているのは、そして常々ニジガクのライバルたちをいたずらで蹴落とそうと画策するのは、「鏡よ鏡」と問いかけるかすみんが他の誰にも負けたくないという思いがつよいからでしょう。

 『無敵級*ビリーバー』もそうでしたが、『Margaret』でも、どちらかといえば素直ではないかすみんの、本心に近い部分が描かれることが増えてきました。これから「あなた」とかすみんの関係は、かすみんの「秘密の恋」があきらかになることによって、進展していくのかもしれませんね。

 

 

M2:Say Good-Bye 涙 歩夢ちゃんの自立宣言


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜2週目〜】Say Good-Bye 涙 / 上原歩夢(CV.大西亜玖璃)

 2週目に公開されたのは歩夢ちゃんのソロ曲『Say Good-Bye 涙』。歩夢ちゃんは『夢への一歩』、『開花宣言』とともに作詞がAkira Sunsetさんで統一されていますね。

 かっこよく威勢のよいイントロで入っていくアップテンポな曲ですが、歌詞は前向きとはいえどことなく悲しさを、そしてその中での決意を示すような曲ですね。

 歩夢ちゃんはスクスタストーリーであなたちゃん(そろそろ侑ちゃんと呼んだ方がいいのかな?でもなんか慣れないんだよね)との衝突が描かれたばっかりですから、スクスタプレイヤーとしては今後の歩夢ちゃんを表しているようで深読みしたくなる曲ですね。

 歌詞は全体として「あなたからの自立」を歌っています、が、ここまであからさまとなると「あなた」とはスクスタにおけるあなた、侑ちゃんを指しているしか思えません。「自信がなくたって 全力でやれば伝わるはずだって いつもそんな気持ちの私だけど」、「あなたがくれるやさしさに よりかかって甘えていたのかな」。

 「自信のない私」のまま、あなたに背中を押してもらってステージに立つよりも、「自信のある私」として、自力でステージにたって輝きたい。そういう強い歩夢ちゃん自身の宣言、それがこの曲なんだと思います。

 ところで「1人じゃなくみんな一緒に 最高の景色を見る時だ」って歌詞、気になりますね。これから先、ニジガクが全員でステージに立つことが、スクスタのストーリーで描かれるのでしょうか。

 「頼りなくてごめんねなんてもう 二度と言わないよ絶対」。歩夢ちゃんの強い意志を、これからも見守っていきたいところです。

 

 

M3 やがてひとつの物語 大女優はハッピーエンドをつかみ取る


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜3週目〜】やがてひとつの物語 / 桜坂しずく(CV.前田佳織里)

 3週目は桜坂しずくちゃん。個人的には2ndアルバムの『オードリー』がライブパフォーマンスも含めて印象的でしたが、しずくちゃんの場合は全曲で作詞・作曲ともに月見草さんが担当しています。虹のソロ曲は実際は同じクリエイターさんが複数の曲に携わることが多いのですが、月見草さんだけはしずくちゃん以外の曲を担当したことはありません。そのためかしずくちゃんのソロ曲は毎回唯一無二の印象がある気がします。

 『やがてひとつの物語』は大胆にBメロにセリフパートを取り入れたところが印象的。曲調は違いますが、展開は高海千歌ちゃんのソロ曲『One More Sunshine Story』を彷彿とさせますね。個人的にはこう猫の目のように曲調やテンポが変わる曲、好きです。

 

 しずくちゃんは演劇部を掛け持ちしていて、その演劇好きがフィーチャーされることの多いキャラクターなので、セリフパートはむしろ「待望された」といった方が正確なのかもしれません。

 しずくちゃんはどの曲でも「演技していない自分」を出せない苦悩が描かれることが多いですね。そんななかでも、少しづつ「あなた」との距離が近づいていることが感じられるところがいいですね。最初は「ずっと側で ただの後輩を演じさせてください」だったしずくちゃん。『やがてひとつの物語』では、「結論は出せない」としつつも、あなたと私のストーリーをひとつに重ねたい、と言っているのだから、「ただの後輩」にしかなれなかった1stアルバム時点からは、大きな成長と言えるでしょう。

 これから先、しずくちゃんがあなたとどんな「ハッピーエンド」を迎えるのか、楽しみでしょうがありませんね。

 

 

M4 哀温ノ詩 「哀温」なこの日は、どれだけ悲しい日か


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜4週目〜】哀温ノ詩 / エマ・ヴェルデ(CV.指出毬亜)

 4週目にして最大のインパクトを残したのがエマ・ヴェルデちゃんの『哀温ノ詩』。

 Ryota Saitoさんは1stの『Evergreen』から、浦島健太さんは前作『声繋ごうよ』に続いて、エマちゃんの曲を担当しています。

 まあまずはその曲調でしょう。和風、というか沖縄民謡といった感もあるサウンド。エマちゃんの場合は、『Evergreen』ではむしろ故郷ヨーロッパのイメージを、『声繋ごうよ』では一転して歌のお姉さんのような曲調へと変化しただけに、どちらかといえばゆったりしているという共通点を除けば、むしろ非常に広い幅を見せてくれているというところでしょうか。

 編曲もあいまって、だいぶ音と展開に重厚感があるんですよね。こういうバラード曲って、歌い手の技量がなければ、そのサウンドの方にボーカルが負けてしまうので、どちらかといえば女性シンガーなんかが歌っているような曲調だと思うんですが、むしろ強烈に主張してくる指出毬亜さんの声にびっくりしました。こりゃもしかして虹で一番うまいんじゃねえか?もともと「マイナスイオン」と言われるその独特な声で個性を持っていますが、それ以上の歌声を見せてもらった気がします。特にサビ前やサビでみせる裏声がまたいいですね。というかBメロの歌い方は沖縄出身の歌が上手いひとのそれでしょ。いやちゅんるんは我らが埼玉出身だけども。

 

 さて、「哀温」とは何であるのか。あるブログでその出典を述べているものがありましたが、私はそれである程度間違いないと思いますね。常用的な言葉というよりは、日本における仏教用語といったところでしょうか。一応中国史専攻なので、ここでカッコよく「出典は詩経だ!」とか言えればいいんだけどね。そうはいかないんだわ。全然専門が活かせてないのは勉強不足もあるかもしれませんね。精進します。

 個人的には、もう少し漢字自体がもつ「雰囲気的な意味」に注目したいところなんですよね。「哀」は確かに悲しいという気持ちを表す言葉なんだけど、「愛」に音が通じることからわかるように、「愛」から発する悲しみのことが「哀」なんですよね。

 「温」ですが、これはまあ「やさしいこと」、あるいは「おだやかであること」。歌詞では「誰かに優しく ただなれればいい」といっていますから、そういうことでしょう。

 では穏やかで温かい、愛しいが故の悲しみとはなんなのか。気になるのは「侘しい旅」ですよね。「侘しい」のか。「侘び寂び」の侘びというイメージがありますが、侘び、というのは本来風流というよりは物悲しいイメージなんですよね。「侘ぶ」の活用形でしょ。「侘ぶ」は今となっては「詫びる」として謝罪することを表す言葉ですが、本来がっくりと気落ちすることや思い煩うことを指す言葉です。

 これは推測ですが、エマちゃんが愛するものの何かが失われるような、そういう展開が描かれるかもしれません。それは日本のなにかなのか、スイスのなにかなのか、もっと違うものなのかはわかりませんが......。「千里越」や「旅」といっているし、きっと故郷のスイスは関係してくるんでしょうね。これは単なる望郷の念ではないと思います。「いつか今日を思い出したら 誰かに優しく ただなればいい」。「この日」がどれだけ悲しく、寂しい日なのか、きっとこれから明らかになることでしょう。悲しいエピソードを受け入れるだけのこころの準備が必要かもしれませんね。

 

 

 以上、前半に公開された4曲を聴いていきました。こうやって書いている間、ずっとYoutubeでそれぞれの歌を聴き続けているのですが、とにかくニジガクのソロ曲はぱっとキャッチーに聞き流す曲じゃなくて、キャラクターとか、ストーリーの背景とか、あるいはライブでの披露とか、そういう部分と合わせてじっくり聴くことでより輝くような曲がそろっていると思います。今後アルバムが発売されたら2番以降も含めてフルコーラスで聴けるでしょうし、そうしたらまた、一段と曲が深まっていくのだと思います。

 後編は全員の9曲が紹介されたタイミングで、残りの5曲について書いていきたいと思います。お楽しみに。

 

 それではまた。

 こばと