これからのアイドルアニメのおはなし

 少し更新間隔があいてお久しぶりとなりましたね。こばとんです。

 なんだか大仰なタイトルがついていますが、要するに虹ヶ咲とミリオンのアニメがどうなるかなあ。こんなんだったらいいなあ。というお話です。

 

 前日3周年を迎えたミリシタですが、そこで「ミリオンライブアニメ化」というファンにとっても青天の霹靂といった発表がありました。


『アイドルマスター ミリオンライブ!』アニメ化プロジェクト始動ムービー

 これまで長い間アニメーション作品という媒体を持っていなかったミリオンライブは、良く言えばディープで深い、悪く言えば少しとっつきにくい面のあるコンテンツだったのですが、これでだいぶファン層が広がるかもしれないな、と思います。まあアニメの出来にもよるけど。発表された映像では3Dのアニメ―ションが印象的でしたね。

 

 

 アイドルマスターシリーズのアニメ化としては本家のアニマスシンデレラガールズ、SideMに次いで4作目のアニメとなるわけですね。私はSideMを見ていないのでそこについては詳しくお話できないのですが、それ以外はしっかりと履修しています。

 本家のアニマスは、やはりアイドルアニメのひとつの原点なのかなあ、と思います。765プロダクションに所属するアイドルとプロデューサーの「お仕事」としてのアイドル活動を描いたアニマスですが、その特徴は一人ひとりのアイドルをしっかり掘り下げているところにあるかな、と思います。

 ストーリーが少しづつ進んでいってアイドルが成長していくのはもちろん、ひとつひとつのストーリーで一人のアイドルをフィーチャーして、丁寧に掘り下げていくのは本当によくできていると思います。話数は限られているなかで、一人漏らさずキャラクターを掘り下げていくのは見事です。私は3話で雪歩を好きになり、7話で伊織を好きになりました。

 ちなみに、アニマスには決まったエンディングが無く、回ごとに登場人物や内容にちなんだそれぞれのエンディングがかかります。これもまたストーリーの内容と相俟って感動するから好きです。ただ、最近のアニメではこの手の演出はちょっと減ってきたような気もしますが......。

 全体としてお仕事とプライベートとのバランスも、ポジティブなエピソードとネガティブなエピソードとのバランスも取れている感じがあります。まあ個人的には、もうちょっと黒井社長を単なる悪役にしてほしくなかったかなあ、という感じがあるけど。まあそうじゃないというような言及もあるんだけど、何となくもやっとしないこともないです。というか、これ以降の各アニメがここから少しでもオリジナリティーを出そうとしている感はあるよね。劇場版まで見てM@STERPIECEは絶対聴いてくださいね。そうすればすっとミリオンにも入ってこれるだろうし。

 

 ミリオンライブが本家アイドルマスターの系譜を継いでいるのに対して、シンデレラガールズは完全に世界観の違うコンテンツです。デレアニは......そうですね、より「おしごと感」の強いアニメです。346プロダクションは有名芸能事務所のような大きなプロダクションで、765プロのような事務所を一丸として頑張ろう!といった雰囲気はあまりありません。ここがオリジナリティーと言えるかも。

 ただ、この特徴をストーリーで上手く生かしています。作中で起こるいろいろな問題は、よく言えばより芸能界としてリアリティ―のある問題になってきます。悪役が出てきてストーリーをひっかきまわしてきて、それを撃退する!というような爽やかな勧善懲悪感よりは、むしろ組織としてのゆがみや理不尽が良く表現されているかな、という感覚があります。

 その分、アニマス赤羽根Pより、デレアニの武内Pの方が、いろいろと考えさせられる深いキャラクターになっています。朴訥で実直な彼が個性あふれるアイドル達と向き合っていく様子はアニマスには無い良さがあると思います。あとは武内さんの出す雰囲気がすごい。当時高校生とは思えん。個人的な注目ポイントはそこです。

 他のコンテンツとは違い膨大な数のアイドルを持つシンデレラガールズでは、14名の「CINDERELLA PROJECT」と呼ばれる企画メンバーによってストーリーが進行します。アイドル一人ひとりを描くのではなく、ユニットごとに行うお仕事とその葛藤を描きました。アニマスよりはまじめに(?)お仕事している印象が強いアニメになっています。何というか、より「芸術性の高い」二作目です。二期で卯月が「S(mile)ing!」を歌うシーンが一番最高なのでそこを見てくれ。あと、いろいろネタにされている未央の「私アイドルやめる!」のシーンは結構重くてしんどいので、毎回辛くなってしまう......。

 

 さて、この流れの中でミリオンがどういう展開になるのか。

 監督、作画などを見ても、本来の系譜であるアニマスのストーリーを完全に継承しているという可能性は低そうです。私が注目する点は2点。

 〇3DCGを多用しそうだが、どういう出来になるか?

 これまでアイドルマスターシリーズはあまり3DCGに頼らず、ライブシーンも2Dにこだわっていて、この点を信条にしているファンすら散見されるほどです。2大勢力である「ラブライブ!」との最大の相違点ともいえるかもしれません。しかし、3DCGでの作画には好き嫌いがあります。「ラブライブ!」は、セル画と3DCGをハイブリッドで使うという革新的な手法を生み出して、年月作品を重ねるごとにそのクオリティ―は上がっているのですが、ミニオンのアニメではどうなるでしょうか。発表のムービーを見る限りはちょっと不安ですが......。

 〇39人のアイドル全員をしっかり描けるか?

 ミリオンライブには本家765PROALLSTARSの13人以外に、各属性13人づつ39人のアイドルがいます。ミリオンライブの一つの魅力は、アイドル間の競争が少ないこと。比較的出番は39人で等分されていて、その差は圧倒的実力主義シンデレラガールズに比べてはるかに少なく、非常に平和です。「自分の推しを一番にする」というモチベというよりは、「安定した供給の中で自分の推しを楽しむ」という雰囲気のあるコンテンツです。しかし、尺の限られたアニメにおいて、39人全員の出番を等分に確保し、その全員を掘り下げるというのは容易ではありません。デレアニみたいにグループに分けても(その可能性も有力ですが)、出番はだいぶ薄まってしまいますし、多分信号機組(未来・静香・翼)の出番が増えることになるのだと思いますが、それでミリマスの良さが維持できるのか......。脚本の手腕に期待です。

 

 

 「お仕事としてのアイドル」を描くアイドルマスターに対して、アイドルを「部活もの」に昇華させてより広い層からの人気を獲得、一時は社会現象まで引き起こしたのが「ラブライブ!」シリーズです。

 東京・神田を舞台として、音ノ木坂学園のスクールアイドル、「μ's」の9人の成長を描いたのが本家の「ラブライブ!」です。監督の花田十輝さんの影響も多々あると思いますが、「ラブライブ!」の展開は圧倒的にミュージカルです。超ポジティブな主人公・高坂穂乃果を中心としたμ'sは、壁にぶつかりながらもその壁を壊して乗り越え、スクールアイドルの大会である「ラブライブ!」の優勝の成し遂げ、それによって学校を廃校から救う、よく言えば「ポジティブで明るい」、悪く言えば「かなりご都合主義な」ストーリーです。まあミュージカルっぽく進みご都合主義なのがラブライブ!のいいところなんだけどね。好き嫌いは確かにあるわな。ニューヨークまで舞台を広げる劇場版は記録的興収を誇りますが、最後の『僕たちはひとつの光』は必聴。ついでにファイナルのライブ映像を見れば完璧。『M@STERPIECE』もそうなんだけど、アイドルアニメの大切なところはそこに詰まっています。

 社会現象にまでなったμ'sたちの後を継ぎ、ちょっと過剰なくらいの期待と不安を背負ってスタートしたのが静岡・沼津を舞台として、浦の星女学院のスクールアイドル、「Aqours」の活動を描いたのが後継作の「ラブライブ!サンシャイン!!」です。こちらも前作とは一線を画した内容となりました。

 ちょっと過剰なくらいにμ'sの影を感じつつ始まったラブライブ! サンシャイン!!ですが、こちらはよりシリアスな展開になることが多くなりました。意気軒高に臨んだ東京でのイベントでは1票も得られず惨敗。8話「くやしくないの?」は、ラブライブ!サンシャイン!!らしさが一番出ている回です。本家のご都合主義はどこへやら、彼女たちは廃校すら防ぐことはできませんでした。2期に入ってくると、その違いは存分に生かされてきます。どちらかといえば挫折の多いAqoursのストーリーは、μ'sのストーリーとは決定的に異なるメッセージを伝えてくれます。個人的おすすめは2期6話。かつての3年生組の挫折とそれに再び挑戦する千歌のストーリーは、このアニメのハイライトの一つでしょう。

 


TVアニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」ティザーPV

 さて、この流れのなかで虹ヶ咲のアニメがどういう展開になるのか。

 何度か当ブログでも言及しましたが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はμ's、あるいはAqoursとは明らかに違う展開が特徴で、なんならその系譜を継いでいると言えるかわからず、ともすれば不遇と見えなくもないコンテンツでした。そのため、アニメ化の発表は予想できなかったほどではありませんが、それなりの驚きがあったことは間違いありません。

 これまでのラブライブ!のストーリーの形を引き継いでくるかどうかさえ微妙なところですが、私が注目したいのはこの2点。

 〇作画をはじめとして、前2作品との違いがどう出るか?

 ニジガクでは、それまでのラブライブと大きく異なる点が多々あります。その一つが作画です。正直、これまでとは相当イメージが違います。これをどう捉えるのか、なんとも言えない面があったのですが、『無敵級*ビリーバー』と『未来ハーモニー』のPV公開によって不安より期待が大きくなってきた感があります。これまでのラブライブに無かったようなポップなタッチの絵も魅力的ですし、それでいてラブライブ最大の特徴である「手書きと3DCGをハイブリッドさせたダンスシーン」でもむしろ今までを超えるかのようなクオリティーをみせてくれました。どちらかといえば期待の高いポイントですが、少なくとも前2作品とは違ったテイストになってくることは確かでしょう。

 〇「ソロ活動」メイン、そして「あなたちゃん」。ニジガクたちのストーリーがどんなものになるか?

 それまでのラブライブでは、スクールアイドルをやりたい!メンバーを集めよう!廃校の危機を救いたい!ラブライブで優勝したい!と、いわばお決まりの流れでストーリーが進んできたのですが、ソロ活動をメインとし、また学校も巨大であるニジガクでは、そのストーリーの流れに乗る可能性は低そうです。まあ「ラブライブ!」で優勝したいという点は変わらないと思うけど......。9人のスクールアイドルだけではなく、プロデューサー的立場の10人目、あなたちゃん「高咲侑」の存在も大きく違うポイント。彼女がどうストーリーに関わってくるのか、注目です。

 

 

 以上、これからアニメ化される「アイドルマスターミリオンライブ」と「虹ヶ咲学園スクールアイドル」について、私の視点からいろいろお話しました。どちらも「3作目」で(まあミリマスは4作目というべきかもしれないけど)、圧倒的な1作目と、それから違いを出して上手く描いた2作目に次ぐ作品となるのですが、しっかり流れを継いでくるのか、あるいはあっと言わせるような変化を見せるのか、期待は高まるばかりですね。

 毎週ミリマスや虹ヶ咲のアニメを楽しみに生きていけるような日々がやってくることがいまから待ち遠しい気持ちです。皆さんもぜひ見ようね。そしていろいろお話できたら最高です。

 

 それではまた。

 こばと