輝きの灯はきっと、わたしたちの心の中に

 

 突然の報せ。流石に私もここまでの事態は想定していなかったので、まさに寝耳に水、といった感じでした。

 もう、どう言葉にすればいいかわかりませんが、すこしづつ、いまの気持ちを言葉にしていきたいと思います。

 

夢を乗せる5大ドームツアー

 5大ドームツアー。アーティストにとって一つの金字塔・到達点ともいえる公演。日本全国でものすごい数のファンを動員する必要があるこの壮大ツアーは、東京ドーム公演を成し遂げたAqoursの次のステージとしてはこの上ないものでした。本当に限られたアーティストにしか認められないステージにAqoursがたどり着いたことは、ラブライバーにとっては万感胸に迫るものがあり、とても誇らしく、そして並々ならぬ期待をかけていました。

 しかしこのドームツアーはまた、発表当初から暗雲が立ち込めていたことも確かです。5大ドームツアーが発表されたときには既に、Aqoursだけでなく、すべてのアーティストが新型コロナウイルスによるライブの延期・中止と闘っていました。Aqoursもその影響は大きく、どうにか滑り込みでCYaRon!のユニットライブは公演することができたものの、Guilty Kiss、AZALEAのライブ、そして最後に9人そろっての公演も延期、そして中止に。「新しい生活様式」が叫ばれるなかでも、なかなかライブの実行には至ることができず、ファンとしては辛い我慢の日々が続いていました。

 「三密」を避ける必要から、しばらくの間観客を入れてライブをすることは厳しい情勢になり、無観客で配信をすることでライブを中継するかたちをとるようになりました。Aqoursのドームツアーでも名古屋・埼玉の2公演は早々に無観客有料配信ライブと決まり、残念な思いと、でも感染の心配は無くなるが故のほっとした思いが入り混じっていました。

 しかし、出来る限り開催へと努力を重ねているラブライブ!運営の姿勢は、ひしひしと私たちに伝わってきていました。確かに決断が少し遅いと感じることもありましたが、それはギリギリまでできる限りでの開催に奔走してくれていたということでもあったと思っています。そのために、1月の大阪公演までも中止とするこの思い切った決断は、相当に苦渋の決断であったと思います。ファンと同じくらい、いやそれ以上の辛い決断が、運営やキャスト、私たちに感動を届けてくれる人たちの間で行われたことは間違いありません。それだけに、私はこの決断に異論を唱えることは絶対にしたくないと思っています。普段、彼ら彼女らの並々ならぬ準備と努力によって、私たちは感動をもらっているのですから。

 

ドームツア―はあきらめない

 なにより嬉しかったのは、Aqoursの6th5大ドームツアーは中止になってしまったといえども、発表のなかに「ドームツアーにつきましては、来年以降の開催に向け、引き続き検討を続けて参ります」という文言があったことです。Aqoursが届いたドームツアーの夢は、まだ終わったわけではありません。

 代替公演が「LOST WORLD」と題され、本来のドームツアーとは全く違うものとして行われることも、見逃せず嬉しいポイントです。

 これは、決して完全な形でのドームツアーが不完全なものになったわけではなく、今回の代替公演は全く別のものであるということを意味していると思うのです。Aqoursの「6th LoveLive! DOME TOUR2020」も、各公演についたそれぞれのタイトルも、ポエポエも、みんな適当にどこかにいってしまうのではなくて、ちゃんと「いつかやるもの」として残っている。必ず、時が来たら、Aqours5大ドームツアーをちゃんとやってくれるということを信じています。

 

LOST WORLDへの期待

 一方、代替公演として開催される「LOST WORLD」にも、大きな期待がかかります。とはいっても、まだ明らかになっていないことも多いのですが......。会場はどういう感じで確保してるのでしょうか。ほんらいは東京ドーム公演が予定されていた2日間。中止の理由から考えれば、決して大きな会場で行われることは無いとは思いますが......。

 「LOST WORLD」という思いっきり割り切ったようなタイトルも注目されていますが、私が一番注目している点は「完全に配信を想定して開催されるライブ」であること。それまで予定されていたドームツアーの配信は、あくまでも普通にやるはずのライブを配信に切り替えて行う、という緊急の措置という感の強いものでしたが、はじめから配信を前提にして構築される「LOST WORLD」はきっとセトリや演出もそれに応じたものになるでしょう。もちろん、あまり時間もありませんし、6thへの準備も進んでいたでしょうから、ある程度は6thのセットリストなどを活かした形になるかもしれませんが、それでも期待は尽きません。

 特に「観客がいない」からこその魅力が引き出せればいいな、と思うのです。観客がいないということは、お客さんによる「コール&レスポンス」も存在しません。これが通常のライブとするならば、「一体感」が得られず残念な面もあるかもしれませんが、あくまでも「配信のライブ」と捉えれば、いつもと違った新鮮な形でAqoursの生の歌声を楽しめる、ほんとうに貴重な機会であると思います。

 先日のNHKシブヤノオトでオンエアされた、伊豆三津シーパラダイスでの『恋になりたいAQUARIUM』のパフォーマンスもそうですが、Aqoursは年々そのパフォーマンスの幅を広げていると感じています。アニメとのシンクロだけでなく、抜群の歌唱力・キレキレのダンスなど、どこに持って行っても通用するような基本的な力をしっかりと持っています。それだけに「無観客配信ライブ」という新しい形態でも、Aqoursは期待を裏切らないパフォーマンスを見せてくれる、きっとまた新たなAqoursの魅力に気づくことができると思うのです。

 

いつだって最高の「今」を楽しめ!

 確かに楽しみに楽しみにしていたドームツアーは中止になってしまいましたが、その分「LOST WORLD」でも楽しみなことがいっぱいある。そのような限られた時間を「前向きに」楽しむことは、ラブライブ!が一番教えてくれた大切なことだと思います。

 私も、折角のこの貴重な機会を、いろいろ前向きにとらえて挑戦したいな、と思っています。会場ではなく家でライブを楽しめるからこそ、手元にメモ帳を用意して、一瞬一瞬を忘れないように書き留めれば、いつもは忘れてしまう細かなところも忘れずにいられるかもしれません。ライブが終わったら、各々最高だったポイントを話して感動を共有するのもライブの楽しみのひとつですが、普段はなかなか話題にならないような細かな部分も共有できるかもしれないし、普段は円盤発売まで待たなければならないキャストの細かい動きや表情、歌声、演出を見て、お互い共有することができるかもしれない。私としては、心の温度が高いままに、色んなメモをもとにブログを書いてみようかな、など、様々な楽しみ方を考えています。決して万全ではない「今」でも、「今」は「今」しか楽しめないのです。過ぎていく時間には逆らえません。それなら、「楽しみ方」を見つける方が、きっと幸せだと思うのです。

 

「みんなから18人へ」、輝きを届ける

 これは完全に持論なのですが、「みんなで叶える物語」としながらも、いつも感動をもらってばっかりであった私たちにとって、Aqoursの18人が私たちに輝きを届けるのが難しくなった今こそ、私たちから「輝き」を届ける時なのではないか、と思うのです。

 思い出してほしいのは、5thライブのアンコール。私たちは西武ドームで、決して運営の力を借りることなく、あくまでもファンの気持ちと協力によって、「虹」を描いてAqoursのメンバーに届けることができました。あの瞬間は、ラブライブ!が「みんなで叶える物語」であったということを何より実感させ、会場にいた何万人という人が一つになれた瞬間でした。

 会場でペンライトを握っていなくても、私たちには「輝き」を届けられる場所を沢山持っているはずです。絵を書ける人は絵を描いて、歌を歌える人は歌を歌って、ダンスができる人は踊ることで、文章が書ける人はブログを書いて、Twitterでももちろん大丈夫。今こそ、自分の「好き」を伝えて、Aqoursからこれまでもらってきた幸せを、勇気を、輝きを、私たちが返す番なのではないか。そう思うのです。

 

輝きの灯を絶やさないように

 なにより一番心配なのは、こうやって未曾有の事態に揺さぶられて、混乱の中にあるなかで、「好き」という自分の気持ちが、その炎が消えてしまうことにあると思うのです。好きなことを好きでいつづけるのは、実はとても難しいことです。人間は移り行く生き物です。もちろん決してそれは悪いことではありませんが、本当に好きなものをあきらめてしまうのは、とても悲しく勿体ないことです。

 今私たちにできるのは、誰のせいでもないこの事態の中で、とにかく「耐えること」。どんな事態を迎えたとしても、そんな「今」を楽しんで、いつか夜が明けていつもの日常が返ってくることを信じて、歩くことをやめないことです。

 私たちのなかにある「好き」の炎。そのひとつひとつの灯だって、Aqoursが放つ強烈な光とおなじ「輝き」です。いま私たちができることは、そのひとつひとつの「輝きの灯」を、消してしまわないことです。

 その輝きが再び、5つのドームに集結するとき、Aqoursは再びステージの上で輝くことができるのです。みんなが帰ってこれる場所を守るためには、そしてその場所でもういちどみんなに会うためには、私たちひとりひとりが、私たちの心の中にある、好きという気持ちによって燃える「輝きの灯」を消さないでいることが必要なのだと、そう思います。

 いつかみんなで、揃って、大きな声で、Aqoursのメンバーの目の前で、「好き」の気持ちを心から叫べる、その日まで.......。