ニジガクカウントダウンウィーク! #6 アナログハート

 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2ndライブまであと6日!

 今日で2日目の「ニジガクカウントダウンウィーク」です。前回の記事は下を参照してね。

 

tsuruhime-loveruby.hateblo.jp

 

 今日9月6日は、天王寺璃奈『アナログハート』をピックアップします。『アナログハート』の世界観はもちろん、ライブでの注目ポイントなど、2ndライブに向けてしっかりおさらいしていきたいと思います。

 それでは、いってみましょう!!

 

※本記事は、アプリ「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル オールスターズ」、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2ndライブ公式パンフレット、雑誌『LoveLive!Days虹ヶ咲SPECIAL』、書籍『にじよん』などを参考にしており、それらの内容への言及、引用、ネタバレを含む場合があります。予めご了承ください。

 

M3:「デジタル」だからこそ伝わる、「アナログ」な心 『アナログハート』

 


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜7週目〜】アナログハート / 天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)

 「キュート」系スクールアイドルの璃奈ちゃん。

 

 その特徴は、なんといっても「璃奈ちゃんボード」。顔のすべてを隠すアイドルは、前代未聞。オンリーワンのアイドル、それが天王寺璃奈です。

 

 璃奈ちゃんボードの発案者は同好会メンバーの愛です。上手く表情を顔に出せないことに悩んでいた璃奈。友達もうまく作れず、孤立してしまっていた璃奈に手を差し伸べたのが、愛でした。

 そこで愛が提案したのが、この璃奈ちゃんボード。表情を画用紙に書いて、ボードとして持って伝えることで、自分の感情を相手に伝えよう、というものです。

 璃奈ちゃんボードは、璃奈がクラスに、学校に馴染んでいくことに大きな役割を果たしました。璃奈ちゃんボードに興味をもったクラスメイトは、少しづつ璃奈に話しかけるようになり、さらには璃奈自身も感情を出しやすくなったのです。自分の世界が広がるという理由で人と話すことが好きになった璃奈。璃奈ちゃんボードは、璃奈にとって決して欠かせないコミュニケーションツールになっていったのです。

 

 璃奈が表情を出せなくなった原因は、その家庭事情によるものです。仕事が忙しかった璃奈の両親は、璃奈が成長するにしたがって家を空けることが増え、璃奈は食事も、夜も、一人で過ごすことが多くなっていきました。

 璃奈は高校一年生。話し方から見れば、ここ1年といった感じではないでしょうから、中学生のころからということなのでしょう。多感な時期です。まだまだ大人になるには早すぎる。そんな時期に、自分の意思とはいえ無理をして大人になった璃奈。表情を、どこかにおいてきてしまった、と言うべきでしょうか。こういう時に、愛のように、他の家族や親戚、近くの知り合いがいればまた違うのですが......。

 表情と同時に友達も失ってしまった璃奈。しかし、こちらの方は、愛の「発明」によって、少しづつ世界を広げていくことができているようです。これからも、璃奈が少しづつ、少しづつ世界を広げていくことを、見守っていきたいですね。

 

 ところで、この璃奈ちゃんボード。ライブ時でも、パフォーマンスに支障が出ないようにと開発された「オートエモーションコンバート璃奈ちゃんボード」のお陰で、璃奈は素顔を晒すことなく、「アイドル」としてパフォーマンスすることができます。

 「顔を隠すアイドル」は、はっきり言って超異例です。これまで、類を見ないと言ってもいいでしょう。私たちの間には、確かに「顔」という部分が、アイドルの重要な要素の一つであるという認識があります。

 しかし、その原点に立ち返れば、本来アイドルにとって「顔」は、絶対的な条件とは言えないかもしれません。Wikipedia「アイドル」のページには、二人の評論家の言を引用して、こう説明しています。

『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』

                Wikipedia 記事「アイドル」より引用

 容姿が絶対条件となるモデルと対比し、アイドルにおいては容姿が圧倒的ではなく、親しみやすい必要がある。それがアイドルだと。

 そういう意味では、顔を隠すアイドル・天王寺璃奈は、一見アイドルからかけ離れているように見えて、実はよりアイドルの「本質」に近い存在と言えるのではないでしょうか。

 

 しかし、キズナストーリーでは、そんな璃奈の被る仮面に対して、「顔を隠しているのはズルい」というコメントがつき、璃奈はそれに悩みます。「璃奈ちゃんボードは、スクールアイドルをするための道具じゃないか」。璃奈の事情を知っていれば、なんとけしからんというコメント。しかし、璃奈はその指摘をまっすぐに受け止めて、ある決意をします。

 それは璃奈ちゃんボードを外してステージに立つこと。しかし、それは決して簡単なことではありません。もともと人見知りな璃奈は、璃奈ちゃんボードがあった方が安心できるし、それに、決意したからといって、うまく笑えるようになるわけではありません。

 璃奈は、こういうとき、折れない。「芯が強い」と表現してもいいかもしれません。

 最初にライブをするとき、璃奈はたくさんの人に、わざわざ自分から声をかけに行こうとした。そこまでしなくても.......という反応を示すあなた。しかし、璃奈は「やりたいから、やる」ときっぱり。「一人で寂しい子にも声をかけたい」。璃奈のアイドルとしての信念は、揺らぐことはありませんでした。

 人見知りで、おとなしい性格。それでも芯が強く、スクールアイドルへの想いが強い。Aqours黒澤ルビィちゃんに近い特徴を持っていると言えるかもしれません。

 

 「璃奈ちゃんボードを取ってでも、色んな人と繋がりたい」。そんな強い意志とともに努力を重ねた璃奈。璃奈ちゃんボードを取ったライブも、もちろん大成功に終わります。私たちにとっては、このタイミングが璃奈ちゃんの素顔を始めてみる瞬間。大きな感動をもらいました。

 しかし、大事なのはアンコール。ライブが大成功に終わり、アンコールの声に応えて再びステージに向かう璃奈。そんな璃奈に、あなたは「ある物」を手渡します。

あなた「素顔の璃奈ちゃんも、璃奈ちゃんボードの璃奈ちゃんも、どっちもとっても素敵な一人の璃奈ちゃんだよ」

「見かけなんてスクールアイドルにはなんにも関係ないって......まっすぐな気持ちは、見かけなんか飛び越えてみんなに届くんだって、璃奈ちゃんを見て思ったよ!」

璃奈「うん、そうだね。これがあったから、私はたくさん、友達ができたんだもん。もう、この子は私の相棒、大事な友達」

「うん、この璃奈ちゃんボードだからこそ、みんなに伝えられたこともあるの。それに、私みたいに表情を出すのが苦手な子には、こういう方法があるって思ってもらえるから......」

              スクスタ 璃奈キズナエピソード13話より

 素顔のライブでファンを魅了した璃奈。しかし、「あなた」は、そんな璃奈に璃奈ちゃんボードを渡します。この瞬間、「璃奈ちゃんボードは決して璃奈がアイドルをするための「道具」ではない」ことが示されたのです。天王寺璃奈というアイドルにとって、璃奈ちゃんボードという「仮面」は、決して一時的なものではありません。むしろ、璃奈ちゃんボードがあるからこそ、璃奈はアイドルとして輝ける、そして、璃奈と同じような悩みを抱えている大切な人たちに、元気と勇気を届けられる。そんなアイドルになれた瞬間なのです。

 

 璃奈が「アイドル」であるもうひとつの証左は、その高いプロ意識にあると思います。

 既に紹介した通り、璃奈はアイドルに対して高い意識を持っています。どういうアイドルになりたいのか。どういうメッセージを届けたいのか。璃奈は明確なイメージをもってスクールアイドル活動に臨んでいます。

 ファンクラブを作り、人気もうなぎ登りの璃奈。しかし、璃奈自身は、応援してくれるみんなの好意に「甘えられない」と、一歩引いた目線で自分の活動を捉えています。

 そんな璃奈は、あることに気づきます。それまで璃奈の活動を見に来てくれていたファンの足が、遠のいているというのです。

 決断と行動が早い璃奈。早速、璃奈はファンのもとに足を運びます。

 ファンの足が離れてしまった理由は、ライブやイベントの楽しみ方が問題でした。「静かに話や歌を聴きたい」。璃奈にとっては盲点ともいえる視点でした。

 しかし、これは決して璃奈の責任というわけではありません。璃奈自身が言う通り、「みんなに喜んでもらいたいけど、いろんな人がいる。全員に喜んでもらうのは、難しい」のです。

 それでも、璃奈はあきらめません。璃奈が計画したのは「オンラインライブ」。璃奈自身が相互に顔が見えるライブ配信アプリを製作し、オンラインライブを行います。

 結果は大成功。離れてしまっていたファンも、今回のオンラインライブに戻ってきてくれました。その結果をみたあなたは、こう提案します。

あなた「会場で璃奈ちゃんに会いたいって言う人もいるし、静かに見たいって人もいる。今までやって来たイベントも、これからは、ネットでも見られる形で続けてみない?」

              スクスタ 璃奈キズナエピソード21話より

 「自分のように一人で寂しい子ともつながりたい」。そんな璃奈のアイドルとしての理想に、また一歩近づいた瞬間でした。

 

 ファンの声にまっすぐ向き合って、また一つ新しい表現を手に入れた璃奈。私は、これこそが「璃奈がアイドルである」と言える、一番の理由と言えるものではないかと思います。

 私はかれこれ13年間嵐のファンをしてきましたが、嵐においては、松本潤くんが演出を担当しています。そして、彼の演出へのこだわりはすさまじいものがあります。

 どういう風にすればファン全員が満足してくれるような演出ができるのか。もちろん、最善はありません。しかし、少しでも最善に近づいていくことが、アイドルに必要な「努力」です。彼は最終的に、透明の「動く台」にのって、アリーナのお客さんの上で踊るという装置を、自らの発案で生み出しました。璃奈が自分で配信アプリを作ったのも、彼女が「アイドル」だからでしょう。見た目だけがアイドルのすべてではありません。その努力する姿勢が、持っている気持ちが、そう、「存在そのもの」が輝き皆を魅了することが、アイドルたる資格なのです。

 天王寺璃奈は、顔を隠していても、誰よりも「アイドル」にふさわしい。そんな存在なのです。

 

 そんなオンラインライブで璃奈が披露したのが、『アナログハート』。

 特徴的なメロディ―と心地よい璃奈の声。3rdアルバム『Just Believe!!!』の中でも、屈指に印象的な曲と言えるかもしれません。

 「アナログ」という言葉は、『ドキピポ☆エモーション』にも表れている、璃奈ちゃんを表す一つのキーワードです。

 璃奈自身が工学系に強いアイドルであることは持ちろんですが、璃奈ちゃんボードをつける璃奈は、何となく機械的というか、ロボットのような印象を受けることもあるでしょう。だからこそ、璃奈のソロ曲はエレクトリックな音が印象的で、それもまた璃奈のイメージを「デジタル」な方向につなげていきます。

 しかし、璃奈が欲しているもの、そして、璃奈自身の魅力であるものは、実に「アナログ」な、繋がりであり、心であり、感情なのです。

 2番にこんな歌詞があります。

「愛情が原材料なんだ アナログハート」

                    『アナログハート』歌詞より

 豊かな感情は、愛情によってはぐくまれるもの。璃奈のこれまでの経緯を知っていれば、璃奈自身がこの歌詞をどんな気持ちで歌っているのか、想像は尽きません。

 しかし、璃奈ちゃんボードを手にして、スクールアイドルとなった璃奈は、少しづつ周りと打ち解けて、周りから愛情をもらえるようになってきました。だからこそ、璃奈はまっすぐファンに向き合って、一度は璃奈ちゃんボードを外して、みんなの前に立つことができました。

 いつか、璃奈は表情を、少しづつでも、出せるようになるかもしれません。みんなの愛情によって、璃奈の中に「アナログハート」が作られるのです。しかし、そうなったとしても、璃奈は璃奈ちゃんボードを手放すことはないでしょう。どんな見かけをしていても、アイドルになれる、そうやって、同じように悩むみんなに勇気を届けられる。天王寺璃奈は、そんな女の子なのです。

 

 ところで、この「オンラインライブ」の話。とってもタイムリーです。新型コロナウイルスの影響で実際に会場に観客を入れてライブができない今。ニジガクの2ndライブも、無観客での開催が決定されています。このライブに向けて、必死の努力を重ねてきたキャストにとっては、残念極まりないことだと思います。

 しかし、私は、これは大きなチャンスでもあると思うのです。璃奈がであった「静かに話や曲を聴きたい」という人は、現実の世界にもたくさんいると思います。そういう人たちにとっては、今回のライブは自分のペースで見れる非常に貴重な機会になるわけです。

 アイドルのライブにはコール&レスポンスをはじめとしたファンの熱狂は欠かせないものだと思われています。しかし、最初の話に立ち返ってください。アイドルの魅力は、決して単一的なものだけとは限りません。「存在が魅力」であるアイドルにとって、ファンに思いを届ける方法は、もっとたくさんあって良いはずです。

 観客を入れずに行われる異例のライブ。「大きなピンチ」と捉えればその通りかもしれませんが、ピンチはチャンスに変えるものです。むしろ、この異例の舞台で、新しい表現の方法を、新しいニジガクを、切り拓いていってほしい。そう思うのです。

 そして、この『アナログハート』は、今回のライブのコンテクストに完璧に合致した、まさにおあつらえ向きといった曲です。アイドルは、ストーリーを積み重ねることによって強くなります。画面越しに観客を迎えての『アナログハート』。歴史が変わる瞬間になるかもしれません。

 

 天王寺璃奈役の田中ちえ美さん。璃奈ちゃんとは違い、笑顔がまぶしく、そしてなにより明るい彼女ですが、璃奈ちゃんと完璧にシンクロしている点があります。それは「プロ意識」。

 ステージに、演技に、ストイックなことで知られる田中さん。『LoveLive!Days 虹ヶ咲SPECIAL』でも、その高い意識が垣間見える発言があります。1stライブのDay2のパフォーマンスで、璃奈ちゃんの声で演じることができなかったというのです。

 周りは「気にならなかった」と言うくらいに、それは少しの違いだったかもしれません。しかし、「一秒一瞬でもちゃんと璃奈ちゃんでいたい」という、田中さんの想いが伝わるコメントだと思います。璃奈として演じている時の、田中さんのパフォーマンスはまさに圧巻です。ほんとうに安定した声で、璃奈の声で、田中さんはステージに立っています。

 昨日、田中さんはこのようなツイートをしていました。

 『アナログハート』という曲に対して、田中さんは人一倍まっすぐに向き合って、璃奈として演技をしてくれているはずです。そして、今回の少し特別なライブにおいて『アナログハート』がどれだけの意味を持っているか、それをしっかりわかっているはずです。

 アイドルは、努力によってステージで輝きます。ストイックに自分の持つアイドル像に向かって努力を重ねる天王寺璃奈ちゃんと田中ちえ美さん。努力の結晶がステージという舞台で光り輝くとき、そこには魔法がかかるのです。

 お台場に、魔法のように虹がかかる瞬間。私たちはデジタルな方法で、それぞれの場所にいても、「アナログ」な心でつながっているはずです。その瞬間を、見逃すわけにはいきません!

 

 

 ライブまであと6日。今日は『アナログハート』についておはなししてきました。

 璃奈ちゃんの「アナログ」な心を受け取れる日が、早く来てほしくて待ちきれないですよね。

 それではまた、明日お会いしましょう。

 ライブまで一日一日、頑張っていきましょうね!

 こばと