梅雨のおはなし
こんばんは。こばとんです。
東京もついに梅雨入りしたみたいですね。最近は、降るんだか降らないんだかはっりきしないお天道様の優柔不断に悩まされていますが、きっとこれから雨の日が増えることでしょう。
皆さんは梅雨はお好きですか?きっと嫌いという人も多いかもしれません。ちなみに私は好きです。なぜかって絵になるから。きれいに咲いた紫陽花に湛えられた雨粒が光っているのも、色とりどりの傘をさして人々が歩いているのも。
少しアンニュイな気持ちになって、窓際にもたれかかって雨に沈む外の景色を眺めているのもまた至福ですね。頭痛まで運んでくるのはちょっと余計だけど。
それに、もうすぐ降りそうな時にする、雨の匂いがまた好きです。慌てて窓を閉める時の雨の匂い。ちなみにこの雨の匂いには"Petrichor"(ペトリコール)という名前があります。植物が出す油の匂いなんだそうです。まあ実際には、オゾンの匂いがしているとか、いろいろな説があったりそうシンプルではないようですが。なによりまだ雨が降っていないのに、降りだす前に雨の匂いがするというのがとても神秘的でロマンチックな気がします。
ここで一曲。「2つの願い」/槇原敬之
雨音のなかで恋人からの電話を待っている、そんな一曲。タイトルの2つの願いとは、「雨がやみますように」と「電話がきますように」の2つ。最後は雨が止んで、彼女とは別れてしまいますが、それまでの心の逡巡を描いた歌詞が秀逸です。
雨が降った日。彼女からの電話を待っている。はてさて、この電話はどういった内容なのでしょう。復縁を提案するのか、別れを切り出すのか。
「さよならと言われるより 言うほうはきっとつらい」。これで解釈が正しいのかはわからないですが、雨が止んだら自分が別れを告げに行く。電話が来ればそれは彼女が別れを切り出すか、復縁を持ち出す。
自分が別れを切り出すかどうかが「雨がやんだら」と他力本願なところがまたいいですよね。とにかく雨が降っているときのアンニュイな気分と、雨に沈む街の情景が見事に描かれている。雨が降ったら必ず流す一曲です。
去年は確か梅雨入りがかなり遅くて、6月にはあまり雨が降らなかったように記憶しています。外出するには天気がいいに越したことはありませんが、雨が降らないと渇水という別な問題が起こります。現代の日本では農業に従事する人の割合も減って、どうも「恵みの雨」というより「憎い雨」といった雰囲気が増していますが、同時に雨が私たちの生活になくてはならないことも忘れてはいけない気がします。野菜の値段が高くなったりもするしね。
続いては、「さよならレイニーレイディ」/SiSH
ナナシスの曲ですね。ナナシスはそこまで深入りしていないコンテンツなのですが、楽曲のクオリティーが高くて、好きな曲もたくさんあります。この曲もその一つです。
雨の日を歌った歌なんですけど、爽やかなデジタルサウンドにのせて歌われます。でもやっぱり失恋の歌なんだよね。失恋は梅雨の季語なんでしょうか。
「春の雨」を歌ったこの曲は、いろんな解釈ができる曲みたいなんですが、何だか私は雰囲気だけを味わっている気がします。
「街はきっと戻れたはずの 昨日を引き換えに光って」
「僕らはそっと魔法を解いた」
詩的な歌詞の雰囲気があまりにも好きです。失恋することを「そっと魔法を解いた」と表現するのがあまりにも奥ゆかしくて、そして切なくて。
なによりこの曲も情景描写が素晴らしいんですよね。どちらかといえば、新緑の鮮やかなライトグリーンの世界に注ぎ込むシャワーのような雨、というか。芸術的な気分で雨の日を過ごしたいときにおすすめです。
コロナ禍のなかで、自宅待機に向いている人と向いていない人というのが話題になりました。私はじっとしていることが嫌いですぐ外に飛び出してしまう質なので、きっと引きこもり生活は辛いだろうと思っていたのですが、想像したよりは向いていたようです。有意義とまでは言えないかもしれませんが、あまり無理することなくこの自粛期間を乗り切れました。
思い返してみれば、雨の日が好きなのは既にその適正を示していたのかもしれません。なんか雨の日って無敵な気がしませんか?その日だけは、家の中で過ごす。雨はすべての外からの情報を窓ガラスの向こう側で遮断して、部屋の中の自分の世界を邪魔してこない。私はそんな雨の日が好きです。
最後にご紹介するのは、「夏の終わりの雨音が」/高海千歌・松浦果南(Aqours)
雨っていつもそんなにお行儀よくしとしとと降っているわけじゃなくて、時には轟音を立てて降ることもあるじゃないですか。そんな日に聴く曲です。
当ブログでも一度ご紹介しましたが、改めて。この曲は「9月の雨」がテーマです。梅雨じゃないのですが、それでも「雨の日に聴く曲」として。
そしてこの曲も失恋の曲。やっぱり雨の日ってみんなテンションが下がるんでしょうか。悲しい考えに浸るのも、私は好きです。
夏の始まりとともに始まった恋が、夏の終わりとともに去っていく。それを9月の雨に打たれながら歌う曲です。小雨というよりは大雨といった情景なんですよね。土砂降りなの。傘をささなかったら瞬時にびしょぬれになるような、そんな大雨。海岸に立っていたら遠くからどす黒い雲が流れてきて、あっという間にあたりに大雨を降らして、立ち尽くした私はびしょぬれになって、雨雲は去っていく。
それでも、雨というのはすべてを洗い流してくれる。「楽しかったね、夏」。失った恋。最後はそれでも気持ちを切り替えて、先へ進む。雨は涙のストレス解消効果を増幅してくれるかのようです。
いかがだったでしょうか。
音楽の力を借りて、皆さんの梅雨が楽しく、そして大切な時間になることを願っています。私はおろしたての傘を開いて、おろしたての気持ちで雨中の散歩にでも出かけようと思います。
それではまた。
こばとん