ニジガクカウントダウンウィーク!#7 LIKE IT! LOVE IT!/楽しいの天才

 9月12日、13日に、無観客有料配信ライブとして配信される虹ヶ咲学園スクールアイドルの2ndライブ、『Brand New Story』と『Back to the TOKIMEKI』。遂に一週間に迫ったライブに期待感も高まります。

 当ブログでも、ライブに向けて何か盛り上げていきたい.......ということで、「ニジガクカウントダウンウィーク」なる企画を始めることとします!

 熱心なファンのみなさんにはお分かりのとおり、3rdアルバム発売へとラブライブ!公式YouTubeチャンネルが行っていた「ニジガクみゅ~じっくウィーク!」のオマージュ(というよりむしろパロディー?)である当企画。2ndライブ当日に向けて、3rdアルバム収録の各曲を聴き込みつつ、ニジガクのストーリーを深め、その醍醐味ともいえるスクスタのキズナエピソード・ストーリーを読み込んで、曲の世界観やライブでの注目ポイントをおさらいしていきたいと思います!

 

 ライブまであと7日の今日9月5日は、優木せつ菜『LIKE IT! LOVE IT!』、そして宮下愛『楽しいの天才』です。それでは、いってみましょう!!

 

M1:『LIKE IT! LOVE IT!』~「大好き」をもらったから


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜9週目〜】LIKE IT!LOVE IT! / 優木せつ菜(CV.楠木ともり)

 「本気」系スクールアイドルの優木せつ菜ちゃん。

 ニジガクのメンバー発表時から「制服や普段着が不明」だったり、後に「本気」になるスクールアイドルの肩書が「????系」だったり、さらにはスクスタのメインストーリーで実は正体が生徒会長の中川菜々であり、優木せつ菜はいわば「芸名」であることが明らかになったり。何かと謎が多く、様々な推測が流れ、注目される存在でした。

 ストーリーが進んでいくと、彼女が「大のスクールアイドルオタク」であり、さらには守備範囲の広大なオタクであることが明らかになると同時に、しかし「元生徒会長」の肩書に偽りなく真面目でストイックな性格であることなど、その個性が深掘りされていきます。

 同時に、彼女はメインストーリーのなかでも重要な存在となっていきます。せつ菜には生徒会長の適性がないと豪語し、「自分がスクールアイドルに就任したらスクールアイドル部を廃部にする」と宣言した三船栞子との生徒会長選挙。ニジガクの仲間たちの協力もむなしく、せつ菜は栞子に生徒会長の座を明け渡します。「生徒会長」というポジションはラブライブ!シリーズには欠かせない個性の一つであると言えるかもしれませんが、彼女はその個性を失ってしまったのです。

 しかし、栞子の発言は決してせつ菜を攻撃することだけを目的としたものではなく、むしろせつ菜の抱える事情を的確に見抜き、結果的により良い方法へと導くものであったことは、過去の記事でも言及した通りです。

   ↓記事はこちらから。

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  せつ菜が生徒会長をする理由は、あくまでも「親から反対されるスクールアイドル活動を親に見つからないよう隠れてするため」でした。せつ菜自身が生徒会長というポジションに強い熱意と使命を感じていたというよりは、「親の反対」というせつ菜自身が解決できない問題を棚上げにし、「生徒会の活動だから」という名目をつけて、スクールアイドル活動の時間を捻出していたのです。せつ菜自身は、生徒会活動も、スクールアイドル活動も、そして学業でも好成績を残すなど、非常に能力が高く、それだけに「逃げとしての生徒会長」であっても、きちんと結果を残せていたのでしょう。しかし、それがあくまでも「逃げ」であることを、栞子はしっかりと見抜いたのです。

 結果として、生徒会長の座を失ったせつ菜は親の説得に臨みます。キズナエピソードでは、説得は当初は不首尾に終わり、せつ菜は家出を敢行します。メンバーの家を渡り歩き、最後は「あなた」の家に泊まったせつ菜。そこで「両親に自分の気持ちを伝えていなかった」ことに気づかされたせつ菜は、ついに自らの舞台に両親を呼び、そのパフォーマンスをもって両親の説得に成功するのです。

 

 「大好きを伝えられること」がせつ菜の表向きの個性、そして長所だとしたら、「逃げてしまうこと」、これがせつ菜の裏の個性、そして課題となる部分とでしょう。

 せつ菜はとにかくまじめで優秀です。両親の厳しい教育と高い期待にも、十分に応えてきたのでしょう。しかし、子どもの人生は親のものではありません。時には親と違う意見を持つこともありますし、親の期待を裏切ってしまうこともあるでしょう。しかし、それで決してすべてが否定されるわけでも、人生を失敗したわけでもありません。自分の人生は自分の人生。自分の意見は自分の意見なのです。これを知ること、それが「自立」です。せつ菜は栞子によって「逃げの生徒会長」の座を追われ、あなたに背中を押してもらうことによって、初めて両親に自らの意思を届け、「自立」に成功したのです。

せつ菜「いいえ、とんでもない!私はただ隠すことばかりを考えていた......だから、あなたのおかげ、あなたが導いてくれたおかげなんです!

              スクスタ せつ菜キズナエピソード16話より

 「隠していること」はもうなにもなくなったせつ菜。「自分の気持ちに正直でいよう」という想いは、2ndアルバム収録の『MELODY』にも、せつ菜らしく大きな声で、めいっぱい詰まっています。

 

 3rdアルバム収録の楽曲『LIKE IT! LOVE IT!』誕生までのストーリーは、「ライブでの失敗」が描かれる、キズナエピソードとしても異色のものです。

 「大好きを広めたい」ーその強い目標を掲げるせつ菜は、ファンクラブ設立を断ります。「枠を設けずに、一部の人だけではなく全ての人に自分に気持ちを知ってもらいたい」。せつ菜が持つスクールアイドルへの高い理想が、まさに具現したものです。

 ファンから熱いメッセージを受け取ったせつ菜は、「みんなの大好き」を届けたいというコンセプトのもと楽曲を作り、ソロライブに臨みます。

 しかし、ファンは熱狂するも、せつ菜自身は不完全燃焼といった様子でした。満たされない心を訝しむせつ菜に、栞子がこうコメントします。

栞子「せつ菜さん、ご自身でわかっていなかったのですね。それは当然のことだと思います。だってあれは、いつものせつ菜さんのやり方ではありませんでしたから。」

「いつも通りではありませんでしたよね。誰かの「大好き」を代弁しようとしていました。誰かの気持ちに寄り添ったからと言って、それを本当の意味で共有することは難しいのではないでしょうか?」

せつ菜「そ、そんなことありません!私がもっと、みんなの「大好き」をしっかりと受け止めて理解すれば、「大好き」だって気持ちは伝わります!」

栞子「「しっかりと受け止めて理解する」......ですか。その考え方は、独善的だと思いませんか.......?」

             スクスタ せつ菜キズナエピソード19話より

  「独善的」ですか。そうか、「独善的」......。ぱっと読んだだけでは、せつ菜のやったことが「独善的」だとまでは思わない。では、どうして栞子は、せつ菜のソロ曲への姿勢を「独善的」だと感じたのか......。

 既に生徒会長選挙でみてきた通り、栞子はストレートに強い言葉を話すので誤解を招きやすいきらいがありますが、決して悪意があったり、見当違いだったりしないのは、既に上に挙げた過去の記事でも見てきた通りです。栞子の言葉の中には真実があるはずです。

 きっと栞子は、「ファンクラブを作って一部のファンを優遇するのではなく、すべての人に伝えたい」。しかし、「みんなからもらった大好きを、すべて理解して伝えたい」という二つのせつ菜の方針が、矛盾しているということを伝えたかったのでしょう。門戸を広く取れば、その分ファン一人ひとりとの濃度は薄まってしまう。もちろん、努力次第でその濃度は高くすることができるかもしれませんが、限界があります。

 そうであるにも関わらず、せつ菜は「みんなの大好きを理解できる」と信じて、他人の大好きを自分が届ける、ということに挑戦しました。私は、決してどちらも間違った方針であるとは思いません。しかし、それは両立しないのです。せつ菜は神様ではないのですから。せつ菜の「大好き」を届ける力は、想像以上に大きな人たちを動かすことができるかもしれません。しかし、それは決して人の「大好き」を完全に理解し、それをみんなに伝えることができるというわけではないのです。むしろ、人間は十人十色であり、その範囲が広がれば広がるほど、そのすべてをこころから理解することは難しくなるのです。

 せつ菜がやっていること一つ一つは正しくても、それが完全に矛盾しているのなら、それはむしろ間違ったことになってしまいます。栞子はそれを「独善的」と称したのでしょう。

 せつ菜が目指す世界は「誰もが「大好き」を言える世界」です。しかし今回のせつ菜のソロライブは、その目標とはかけ離れてしまいました。誰かの「大好き」を理解した気持ちになって代弁してしまうのは、むしろそれぞれの「大好き」の多様性を失わせてしまいます。せつ菜はこれまで自分の「大好き」を伝えることで、ファンに勇気を与えてきました。今回のやり方は、せつ菜の「いつものやり方」ではなかったわけです。

 

 『LIKE IT! LOVE IT!』は、これまでのせつ菜のソロ曲である『CHASE!』、『MELODY』の系譜を完全に引き継いだ、せつ菜らしい爽やかでしかしエネルギッシュなナンバー。スクールアイドルへの想いを歌った『CHASE!』、両親に思いを打ち明けしっかりと自分と向き合った清々しい気持ちを乗せた『MELODY』。『LIKE IT! LOVE IT!』も、これまでと同じように、せつ菜自身の想いを、そのままにまっすぐにメロディーに乗せた一曲です。

 注目は2番の歌詞。

「誰かが否定をしたとしても 私は絶対味方だから」。

                   『LIKE IT! LOVE IT!』歌詞より

 栞子からまっすぐな「大好き」という気持ちをもらって、せつ菜は自分のライブの魅力に気づくことができました。大好きな同好会のメンバーが、誰かが自分の味方をしてくれる。そんな心強さを、せつ菜は『LIKE IT! LOVE IT!』にまっすぐ乗せて歌います。同じやり方。変わらないメロディー。それでも、せつ菜の内面が大きく変わっていることは、もうみんな気づいているはずです。

 

 優木せつ菜役の楠木ともりさん。若くして才能あふれる彼女は、自身が作詞作曲を行うほどの「表現者」ですし、自らが演じるせつ菜とまっすぐ向き合っていることがとてもよく伝わってきます。そんな彼女の「自分は髪が短いので、そういう部分が気にならないように」と、舞台の上でせつ菜に少しでも近づけるように、という強い想いが伝わってくるコメントが『LoveLive!Days 虹ヶ咲SPECIAL』に掲載されています。しかし、2ndライブのパンフレットでは、髪を長くして、よりせつ菜自身に近づいた楠木さんの姿がありました。せつ菜とともに成長して、舞台の上でさらなるシンクロを見せてくれる楠木さんからも、目が離せません。

 

 

M2:『楽しいの天才』~「楽しいの天才」が乗り越えてきたこと 


【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜8週目〜】楽しいの天才 / 宮下 愛(CV.村上奈津実)

 「スマイル」系スクールアイドルの宮下愛ちゃん。

 ギャルの見た目をして、高いコミュ力をもっているけれど、おばあちゃんっ子でぬか漬け好き、さらには独特なセンスのダジャレを飛ばすなど、そのギャップが魅力である愛。

 実家はもんじゃ屋(モデルになっているのは門前仲町の「三久」さん)。両親は共働きで忙しく、愛自身はおばあちゃんによって育てられてきた。一方で、「もんじゃ屋の看板娘」という立場もあり、非常に愛想よく、誰にでも人当たりのよい性格はこのあたりから来ているものが大きいと考えられます。

 その明るい性格は、キズナエピソードでも存分に発揮されています。学校中に友だちがいたり、カラオケに大量に友だちを招いたり......。高い知名度を誇る愛は、ニジガクのメンバーも面識は無くとも知っているほどでした。

 そんな愛ですが、キズナエピソードでは積極的に自宅に「あなた」を招きます。ここまでプライベートを積極的に見せているメンバーは、おそらく愛だけでしょう。分け隔てのなさ、隠し事をしない感じ、気前の良さ。愛が多くの人から愛される理由が垣間見えます。

 ところで、愛の家庭事情は、少し気になるところです。

 「両親は共働きで、おばあちゃんといた時間が長い」と語る愛。しかし、愛は同時にもんじゃ屋の看板娘的な存在であり、お店の近所の人たちにも愛され、常連さんとも仲良くしているだけに、愛の生活はもんじゃ屋と切り離して考えることはできないものだと思います。

 もし両親がもんじゃ屋を経営しているなら、両親と店先で過ごしている時間もそれなりに長いと考えられます。それに、もんじゃ屋は昼から、あるいは多くの店は夜のみの営業をするお店も多いのです。両親と過ごす時間が全くない、というのは不思議ではあります。それとも、両親は別の仕事をして、もんじゃ屋はおばあちゃんが経営しているのか......。

 ちょっと考えすぎかもしれませんね。どちらにせよ、「おばーちゃん」と「おねーちゃん」。この二人は、愛にとって大切な存在です。

 しかし、その「おねーちゃん」は、実の姉ではありません。近所に住む年上の女の人、川本美里を、愛は実の姉のように慕っているのです。

 体が弱い美里。友達の少なかった美里を見つけたのは愛でした。愛は美里のことを気にかけると、寝込んでいるときはなにがあったのかを美里に話し、寂しい思いをさせないようにしていたのです。愛を特徴づけるダジャレも、美里に喜んでもらえたことがそのきっかけであったと、愛は話しています。

 「気配り上手」な一面が、愛の大きな魅力であることは間違いありません。璃奈との関係もそうでした。表情をうまく表せないことを悩んでいた璃奈に愛が提案したのが、「璃奈ちゃんボード」でした。そもそも、根本的にタイプの違うように見える愛と璃奈、あるいは愛と美里の仲がいいことこそが、愛という女の子の本質を示しているような気がします。助けが必要な人に寄り添うことができる、それが愛の最大の魅力なのです。

 

 美里を笑顔にしたい。そこを原点としている愛は、持ち前の明るさをスクールアイドル活動でも武器にしていきます。

 『めっちゃGoing!』は、とにかく前向きな歌詞が特徴。愛らしい「ノリの良さ」は、歌詞にもテンポにも全開に表れています。ラブライブ!シリーズの新たな定番トラックメイカー、Carlos.Kさんのキャッチーで魅力たっぷりなメロディーは、愛の楽曲の最大の特徴でもあり、ライブでは必ず場を盛り上げてくれる、「宮下愛」というスクールアイドルを的確に表している面はさすがといえるでしょう。

 

 キズナエピソードで描かれる各メンバーの「ファンクラブ設立」。愛のファンクラブ「愛トモ」は、副会長は美里が務め、愛へのサプライズも行われるなど、その団結力は目を見張るものです。

 『友&愛』は、そんな愛トモのための一曲。愛が、愛トモのために作詞したこの曲は、タイトルから歌詞まで、しっかりと「愛トモ」が意識されています。「人はみかけによらないもんだよね」は、まさに愛そのものであり、さらには愛の交友関係も表している、そんな言葉だと思います。

 

 そして、3rdアルバム収録曲の『楽しいの天才』。今回もAkira SunsetさんとCarlos.Kさんの黄金タッグによって作られたこの曲。「楽しい」をテーマにした前向きな歌詞、ノリの良いメロディ―は、それまでの愛の曲のコンセプトをしっかり引き継いでいます。ここは『LIKE IT! LOVE IT!』に通じるところがあるかも。

 「楽しいを作れる」。あなたからの指摘を受けた愛は、人を元気づけるライブをするために、「病院」をライブ会場に選びます。

 「病は気から」。どうしても不安になってしまう場所。それが病院です。愛は、そんな病院にいる人たちに元気を与えたいと、病院でのライブを計画します。

 

 ところでこの『楽しいの天才』。あっけらかんとしてオープンな性格であるにも関わらず、これまであまりわかってこなかった愛の内面が、少しだけではありますが、表現されています。

 

「くだらないジョークを言える今日は いつも通り平凡で幸せな日だ」

「最初は本当泣き虫で 凹むことばっかりがありすぎて こんな自分がとっても嫌い でも今は強くなりたい」

                                                      『楽しいの天才』歌詞より

  これまでの『めっちゃGoing!』、『友&愛』でも、いつも明るい愛さんが見せるちょっとした陰というか、ネガティブな部分が描かれてきていました。しかし、核心といった部分までは、まだ描かれていなかったと思います。

 しかし、『楽しいの天才』は違います。きっとこの歌詞は、なにか一般的なことを歌っているのではなく、愛自身の経験を踏まえて、等身大の気持ちを歌っているのだと思います。

 「泣き虫」とか、「自分が嫌い」とか、そこまでのことは、キズナエピソードを読んでいてもなかなか読み取れません。しかし、「雷が怖い」など、実は怖がりな一面は見せています。もしかしたら、かつての愛ちゃんは、「泣き虫で気分が嫌い」な女の子だったのかもしれません。

 きっと愛さんには、まだまだ語られない、「平凡で幸せ」でない日が、「泣き虫で嫌い」な自分が、かつて存在していたのだと思います。愛が「助けが必要な人に寄り添える」のは、もしかしたら愛自身がかつて「たすけが必要な人」だったのかも、と妄想します。美里に笑顔を届ける、その経験こそが愛を大きく変え、もしかしたら愛自身の分だけではなく、美里の分まで、いやもっともっと多くの人の分だけ楽しみたい。そしてみんなを笑顔にしたい。そんな愛の想いが、込もっているのかもしれません。

 

 宮下愛役の村上奈津実さんは、もともと「ダンスが苦手」だったと本人も語っています。ラブライブは、決して歌が上手い、演技が上手い、ダンスが上手い、そんな完璧なキャストを集めるプロジェクトではありません。そのキャラクターにもっとも寄り添える、キャラクターと向き合える、キャラクターと一体となれるキャストをオーディションで選んで、キャラクターとキャスト、二人が二人三脚になって、一緒に成長していく。それがラブライブであり、ラブライブそのものがスクールアイドル活動、そしてその青春を体現している部分でもあります。

 そんな村上さんは、大変な努力を積み重ねて、苦手のダンスを克服しました。愛はどちらかといえば運動神経の高いキャラクターで、きっとその乖離には苦労し悩んだと思います。しかし、1stライブ、あるいはラブライブ!フェスで、村上さんは完全に「宮下愛」とシンクロしたパフォーマンスを見せてくれました。

 今回、『楽しいの天才』で村上さんが挑戦するのは、愛によるラップです。レコーディングの段階ならまだしも、ダンスと一緒にラップを披露するためには、それだけの肺活量、体力がさらに必要になるでしょう。

 しかし、既に「宮下愛」に少しでも近づくだけの努力を、あれだけ見せてくれた村上さんです。2ndライブでは、完璧なラップとともに、見事なダンスでライブを盛り上げてくれる「宮下愛=村上奈津実」さんを、しっかりとこの目に焼き付けることができることは間違いありません。

 

 

 ライブまであと7日。今日は、『LIKE IT! LOVE IT!』、『楽しいの天才』の二曲についておはなししてきました。

 「大好き」を届けたいせつ菜。「楽しい」を届けたい愛。2人がそれぞれの形で届けてくれる「スクールアイドルの素晴らしさ」を受け取れる日が来ることが、楽しみで仕方ありませんね。

 それではまた、明日お会いしましょう。

 ライブまで1日1日、頑張って行きましょうね!

 こばと

「西武・内海哲也」の誕生

 ライオンズファンにとって、いやもしかしたらもっと多くの野球ファンにとって、嬉しい嬉しい、たまらないほどに嬉しい勝利だった。

 

 「内海哲也の743日ぶり移籍後初勝利」。「743日」も、「移籍後初勝利」も、それだけで喜ばしいことかもしれない。しかし、この一つの勝利には、この一文を遥かに凌駕するだけの壮大なコンテクストが、そして深い深い喜びが、詰まっているのだ。

 

衝撃の人的保障

 内海哲也は、1982年京都府生まれの左腕投手である。

 強豪・敦賀気比高校在籍時から左腕エースとして鳴らし、「北陸のドクターK」と称された内海は、高卒でのドラフト会議では複数球団の1位指名による競合が確実視されていた。

 しかし、祖父が巨人の投手であった内海は、巨人への入団を熱望。交渉権を得たオリックス・ブルーウェーブからの熱心な説得にも翻意せず、入団を拒否。社会人の東京ガスへと進んだ。

 社会人でも活躍をみせると、2003年のドラフト自由獲得枠で巨人に入団。2006年から2008年までは3年連続の二桁勝利。さらに、2011年には18勝、2012年には15勝を挙げ、2年連続最多勝の偉業を達成。巨人不動の左腕エースとして君臨した。私自身も、野球観戦を始めたのは2010、2011シーズンからであり、憎たらしいほどに強かった当時の巨人のエースとして、抜群のインパクトを記憶に残している。ワインドアップが特徴の投球フォームは独特で風格があり、同じ左腕として憧れの存在でもあった。

 チームでも人格者として知られていた。彼のWikipediaには、彼の人格を示すエピソードであふれている。社会貢献活動も行うなど、成績・人格ともに、まさにチームを引っ張るエースとして相応しい選手であったことは疑いようがない。

 2013年からは成績を落としていたが、その入団経緯、実績、人格。そのすべてからして、生涯巨人であることを疑うものはいなかったし、ゆくゆくは首脳陣に入っていくことを約束されているような存在だった。

 

 しかし、それは突然にして起こった。すべての野球ファンを震撼させた。そんなオフだった。

 2018年オフ、巨人は例年のように大補強を行った。広島から丸佳浩を、西武から炭谷銀仁朗を獲得した。

 ここまでは例年通りだった。しかし、人的保障が発表されたその時、野球界はとんでもないニュースに直面することになったのだった。

 

 広島は長野久義を、そして西武は内海哲也を獲得したのだ。両ベテランはチームの顔であり、成績を落としたとは言っても未だ一線で活躍していた。そしてさらにいれば、両選手ともに、巨人への加入を熱望し、浪人生活を経てまで念願の巨人入団を果たした選手だったからである。

 それまで若手の流出に悩まされていた(一岡・平良・奥村など)巨人にとって、若手をプロテクトしたこの選択はある意味でそれまでの流れに従った妥当なものだったかもしれないが、それにしてもあまりのビッグネームの流出に、賛否両論喧々諤々の議論を呼ぶこととなった。また、補強を行った広島・西武側でも、若手ではなくベテランの補強を行ったことに関しては、様々な意見があったことを記憶している。

 

苦悩と決断

 大きな波紋をもたらし、また大変に注目された内海の西武入団。しかし、その1年目は、内海にとってはあまりに不本意な、さらには、巨人の決断の正しさと表していると捉えられてしまう屈辱のものとなった。

 「一つでも上に」と、巨人でつけていた26に次ぐ27(元炭谷の背番号)を選択した内海。しかし、移籍1年目の2019シーズンは、一歩も動けない停滞のシーズンとなってしまった。開幕前から左前腕の故障に悩まされると、なかなか復帰できず。8月に復帰し二軍戦に登板するも苦戦。自身初の一軍登板なしに終わった。

 

 怪我による不振は、もちろんファンの期待を裏切ったとも言えるが、仕方ないとも言える。しかし、ファンの注目はオフに集まっていた。なぜなら、内海自身がFA権を保持していたからである。内海の去就は、多くの注目を集めた。

 内海の人格は既に述べたとおりであったが、西武ファンの中には疑心暗鬼に陥るものも多くなかった。なかには「内海は西武では全く活躍せずに、巨人に戻るつもりなのだ」と、悪意に満ちた発言をする者までいた。「レンタル移籍」とまで揶揄された。もちろん、FA権自体は選手の権利である。しかし、FA流出の多い西武であること、さらには、かつて巨人から西武に人的保障で移籍してきた脇谷亮太がFAで巨人に戻った例もあることから、それは決して全く可能性のないことでは無く、西武・内海の活躍に期待をかけていたファンはやきもきしていた。

 心配は無用だった。「最初からFAするつもりはない、まだ1勝もしていない西武に報いたい」と語った内海は、FA権を行使せず残留した。「内海哲也」という人間がどういう人格の持ち主なのか、どれだけ信用できるか、チームにとってどれだけ大切か。もう西武ファンはじゅうぶんに理解していた。なにより、チームに貢献したいと復帰を目指すその気概が、そして多くの選手がチームを離れるなかで、ひとりの選手がチームに残ってくれるということが、ただひたすら嬉しかったのだ。

 

復活の息吹

 そして迎えた2020シーズン。内海は徐々に、復活への糸口をつかみ始める。

 昨季は炎上してしまった2軍での登板も、今年は抜群とは言えないものの安定感があった。怪我の不安も解消し、内海哲也が西武の、ブルーのユニフォームを着て、マウンドに帰ってきた。

 目を覆うような先発投手陣の惨状は、内海にチャンスをもたらした。遂に、内海が1軍のマウンドに返り咲いたのだ。8月22日。オリックス戦。京セラドームのマウンドに、遂に「西武・内海」が姿を現した。

 そこには、記憶の中に刻まれている「内海哲也」が、そのまま存在していた。特徴的なワインドアップ。風格のあるフォーム。スリークォーターから投げ込まれる多彩な変化球。直球にはかつてほどの威力はなかったが、緩急でそれをカバーする。熟練の投球術だった。

 結果は伴わなかった。自身の守備の乱れからランナーを溜め、ジョーンズに一発を浴びた。落ち着いて打ち取っていればゲッツーだったミスは悔やまれたが、逆に言えば、それが恐ろしく悔やまれるほどに、良いピッチングだった。ジョーンズひとりにやられた。そんな試合。次のチャンスは約束された。


【パでも輝く】内海哲也『移籍後初登板・初先発』まとめ

 

 歓喜の瞬間

 一度抹消されて、最短の10日で登録。チャンスは回ってきた。9月2日。ロッテ戦。相手投手は先週の登板で涌井相手に快刀乱麻の投球を見せ、涌井の連勝を止めた小島和哉。勢いに乗る若手、難敵を相手に、内海がマウンドへと向かった。

 小島は完全に何かを掴んだような、安定したピッチングだったが、内海は決して負けなかった。カウントが進んでも、慌てることなく、淡々とアウトカウントを積み重ねた。4回までは小島・内海ともにノーヒットの、緊迫した投手戦。それだけでもう、ファンは否応なく「内海哲也の復活」を感じていた。

 内海は5回被安打2、6奪三振2与四死球の解答。75球でいささか早い降板だったが、両足を攣っての投球であったと後で知る。気迫のピッチング。正直に感動した。ルーキー柘植とのバッテリーであったことも、ファンにとっては嬉しい限りだった。大ベテランとルーキーがバッテリーを組んで、相手打線を手玉に取る。これ以上ない喜びである。


これが内海哲也だ!!『変幻自在の投球でパ・リーグ初勝利』《THE FEATURE PLAYER》

 

 打線も内海の快投に応えた。6回表には外崎が見事なセーフティーバントで出塁。さらに盗塁でチャンスを拡大、山川をフォアボールでランナー1,2塁。メヒアの浅いフライの間に外崎がタッチアップを試みると、マーティンの三塁への投球は大きく外れ、外崎は本塁に生還。西武らしい足を絡めた攻撃で、ついに内海に勝利投手の権利が手に入った。

 その後は、手に汗を握るスリリングな展開に。しかし、森脇・宮川といった若手の気迫のピッチングもあり、西武はぎりぎりで、リードを、つまり内海の勝利投手の権利を守り切った。

 守護神・増田の最後の一球。こちらもセ・リーグからパ・リーグにやってきたベテラン、鳥谷敬のバットは空を切った。内海はついに、2年越し、そして西武の選手として初めての勝利を勝ち取ったのだった。

 

 笑顔で辻監督と言葉を交わす内海。この瞬間、「内海の移籍後初勝利」を、実感として感じた。全身で嬉しくてたまらなかった。

 ヒーローインタビュー。私はテレビの前にかじりついて、内海のひとことひとことを漏らさずに聞くことに努めた。

 落ち着いた言葉からは、これまで積み重ねた勝利の経験を感じさせた。それでいて、内海は少し恐縮しているように見えた。

 「去年人的保障で入って、期待されてきたんですけど、なんにも活躍できず、一軍登板もできず、本当につらい思いばっかりしてきたので、ようやく勝てたなという感じです」

 彼の強い責任感が、そこにはにじんでいた。期待に応えられなかった。一軍で投げられなかった。そのすべてが内海自身に焦燥感を与えていたことが、ひしひしと分かった。同時に、人的保障という、ある意味では不本意な形でチームにやってきたにも関わらず、西武に貢献したいという一心で怪我を克服し、一軍のマウンドに帰ってきて、そしてついに白星を挙げた。その並々ならぬ努力に、もの凄い気概に、胸を打たれた。多くの選手から慕われる「人格者内海」が、そこにはいた。

 彼自身は、結果を出すまでは、西武のチームの一員にはなれないという思いが強くあったのだろう。

 「ようやく、ライオンズの一員になれたと思います」

 二軍では若手の指導役としても、存在感を発揮していた。それだけでももう、十分に「ライオンズの一員」なのだ。しかし、彼はそうは思っていなかった。ファンの期待に応えて、一軍の舞台で活躍して初めて「ライオンズの一員になれる」。強い責任感が、そこにはあった。「ライオンズで活躍する」。内海のその意思がこれほどに強かったのだということが、言葉の節々に溢れていた。なんと魅力的な選手なのだろうか。


2020年9月2日 埼玉西武・内海哲也投手ヒーローインタビュー

 

 今、ライオンズは5位に低迷している。しかし、野球は決して勝利だけが蜜の味、というものでもない。

 プレーに、人格に。魅力的な選手が、全身全霊で活躍する。それに、私たちは心を打たれるのだ。もちろん、プロスポーツに勝利は至上命題だ。彼らは勝利に向かってもがくからこそ、強く輝くのだ。内海哲也には、やはりスター性がある。なにか起こすかもしれない。そんな期待がある。ひとつひとつの登板から目が離せない、そんな魅力的な投手だ。

 

 「5回しか投げられなかった」。まだまだ、課題はたくさん残っている。今日は決して立ち上がりが良かったわけではないが、しかしさすがの修正力を見せた。しかし、内海のもつ責任感が、いつかその壁も越えられる力を生む、そう信じている。

 「つらい思いをしてきたので、与えれた試合でベストを尽くして、ようやく貢献できたので、これを何回も続けられるように、頑張りたいです」。

 「西武・内海哲也」は、今日誕生した。まばゆい光を放って、今日誕生した。その投球術も、人格も、覚悟も、そのすべてはかつて「エース」と呼ばれた投手の気概を存分に示し、そしてそれは私たちを否応なく魅了した。

 前回の復帰登板もそうだったが、内海の登板はTwitterでも大いに話題になっていた。そこにはもちろんライオンズファンの熱烈なコメントも多かったが、同じように古巣・巨人ファンの声も多かった。いや、さらに言えば、野球ファン全体から、内海を応援するコメントが届いていた。これほどまでに慕われるのも、それだけの実績を、人格を、背中で示してきたからであろう。

 私は、これからも「西武・内海」を追い続ける。その活躍が一秒でも、一瞬でも、長く続くことを願っている。彼なら、低迷したチームに新風を吹き込んでくれるかもしれない。もっともっと、勝ち星を重ねることができるかもしれない。

 なにより、すべての野球ファンを巻き込むその活躍は、「野球」がもつ本来の魅力を、私たちに教えてくれていると思うのだ。チームの垣根を超える感動は、たしかに届けられるのだ。

 

 「西武・内海」がこれからどんな景色を見せてくれるのだろうか。どんな感動を届けてくれるのだろうか。これからいくつ、白星を重ねていくことができるだろうか。

 その活躍は、一瞬たりとて見逃せない。

2020シーズンを半分消化したおはなし

 今日で2020年は折り返しです。明後日から後半に入ります。

 そう、野球のお話です。コロナウイルスの影響で日程の大幅変更・試合数削減となった今期ですが、巨人以外の11球団が既に半分以上の日程を終了しました。折り返し地点です。野球ファンってシーズンの消化を体内時計みたいに季節感の把握に使っているところがあるから、8月末で折り返しっていうのは違和感がとてつもないですね。今年はとにかくテンポが乱されっぱなしだわ。

 わたくしの推しチームであるところの西武はですね、5位に低迷しています。ここまでの苦戦は考えていなかったなあ。

 ここまでの半期の西武の戦いを、私なりに振り返っていきたいと思います。

 ちなみに、開幕前の記事はいかに貼っておきます。今のとこぜーんぜん当たらんね。いかに素人が野球を語るのが無意味かが分かると思う。

 

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野手

 最大の誤算でしょう。昨季首位打者の森が.258で5HR。昨季本塁打王の山川は.233で18HR。昨季盗塁王の金子はここまでわずか2盗塁。昨季華麗に復活を見せ打点王を獲得した中村に至っては.202で6HR。源田もキャリアで最大の不振に。さらには、2番手捕手として攻守に抜群の安定感と信頼度を誇る岡田も手術の影響もあってか未だ無安打。外崎すらも昨季よりはパンチ力が低下するなど、球史に残る猛打を誇った打線は完全に瓦解してしまいました。「打線は水物」とはいえ、ここまで誤算が重なるとさすがに苦しい戦いぶりになりますね......。不動のリードオフマンだった秋山が抜けた影響もあるのかなあ。開幕から60試合、狂った歯車を一度も嚙合わせることはできずにここまで来てしまいました。

 辻監督の頑固采配も今期はこれまで以上にやり玉にあがることが多くなりました。辻監督は、一度その選手と決めたら打ち出すまで心中するようなところのある監督なのです。この頑固一徹な采配は多くの選手を開花させ、また復活させていた側面もあるのですが、今季はそれどころではない事態です。臨機応変に動いていくことが必要でしょう。もう完全に後がない状態ですから、後半戦は思い切った采配が少しでも見れることを期待したいものです。

 

 一方で、多くの若手が一軍出場の機会を得ることができました。

 

 外野では鈴木将平、川越誠司、岸潤一郎、高木渉、西川愛也といった選手が次々と出場機会をつかみ、内野も山野辺が一軍に定着。捕手も柘植世那がいきなり2本のホームランを打つなど印象的な活躍。若手が活躍するのは、順位に関わらず非常に大きな楽しみになるので、後半戦も注視していきたいですね。

 

 最近は外国人選手の活躍が光るようになってきました。楽天戦で無双のメヒア。30日の9回二死ツーストライクからの逆転3ランは震えたわ。生涯西武にいてくれ。

 評価の難しかったスパンジェンバーグは、それでも徐々に成績を向上。ここまで.283、8HR、31打点、5盗塁の活躍。単純計算して後半戦も同じ活躍だとすれば、.283、16HR、62打点、10盗塁。三塁と左翼の守備を難なくこなしているところから見ても、十分じゃない?性格も素晴らしいんだよね。とにかく西武の外国人選手は性格面がハイレベル。みーんなナイスガイなんだよな。いなくなってほしくない。

 

投手

 先日どこぞの記事で指摘されていましたが、QS率がとんでもなく低いのがチームの低迷に大きな影響を及ぼしているとのことです。そうだよねえ。去年までは先発陣が不安定とはいっても、ぎりぎり試合が作れていたのですが、今期は完全に崩壊しています。

 ニール先生は去年ほどの安定感はないよねえ。ここ最近は徐々に元の投球を取り戻しているけど。でも、やはり人格はさすがですよね。先日抹消になった今井に声をかけるとか、本来外国人選手に期待するようなことではないフォアザチームの精神。メッセンジャーみたいに長くチームに在籍してほしいなあ。

 髙橋、今井、松本のドラフト1位組は三者三様。髙橋光成は、うーん、どう評価すればいいの?6回3失点で投げてくれればいいよ、とにかく。

 今井は中継ぎ転向、更には3死球の大荒れで二軍落ち。うーん。そろそろ、ちゃんと一皮むけてエースになれるのかどうか心配なんですが。やっぱり、投手陣は大幅なテコ入れが必要だよね。

 一方で、松本はクイックで投げるようになってから急速に復活。なんなら、今の安定感は昨年以上かも。ここ最近は援護がないけど、この投球ができれば後半戦5つくらいは勝ち星が付きそうよね。

 ここまでは「結果を残さなくてはいけない選手」それ以外は、面白いメンバーなんだけど、結果が出てないんですよね......。

 アンダースローの與座くんは、うーん。今一つ安定感が不足してるかなあ。まあ、まだ一軍は1年目なんだし、後半戦、あるいは来期以降は活躍してよ。

 榎田・本田といったコントロールピッチャーたちも今一つ苦戦。伊藤はもうちょっとチャンスをあげてもいい気がするなあ。

 最近は、左腕ピッチャーが二軍から昇格して結果を残しましたね。

 一人目は内海。内海の復活は嬉しいよ。やっぱかっこいいし。明後日先発するみたいですが、白星を期待しています。

 二人目はノリン。こんなに個性的なピッチャーだったんだね。投げるたびに変わるフォーム。それでいて制球もいいし。元SBのファン・デレオンを思い出すわ。こういうタイプで、日本で大きな成功を掴んだピッチャーがあまり思い浮かばないのが不安だけど、もうとにかく駒不足なので、活躍してほしい。

 十亀は行方不明なの?多和田が病気を克服してマウンドに立っているのは端的に嬉しいです。多分自分が最後に現地で観戦した試合の先発は多和田だったはず。

 

 中継ぎはめちゃくちゃいいよね。こんなチームだったっけ?

 平良ーギャレットー増田の勝利の方程式はかなりの安定感。まあ最近は打たれてるけど、まだ致命的な炎上をしているわけではないですからね。楽天の森原とシャギワみたいなね。平良とギャレットは平然と160くらい出してくるので、ロマンにあふれているところもいい。ロマンって大事だよね。平良には新人王の可能性もあるし。

 あとは、森脇が出色の安定感。森脇パパはね。去年から「開花すれば大きい」と思っていたけれど、やっぱり大きいです。中継ぎは安定した駒が4枚か5枚あると、本当に堅いんだよね。

 平井さんは、うーん、どうなのよ?まあ勤続疲労は大きいんだろうけど......。衝撃の先発初勝利もあったしねえ。しばらくはプレッシャーの少ないところで投げてチームを支えてほしいかな。

 

 投手陣も、若手の活躍がありました。宮川は本当に大きい活躍だよね。防御率は一見悪いけどさ、あのパワーカーブが好き。将来の抑え候補ですね。

 浜屋は、どうなの?先発させてみれば面白い存在だと思うんだけど......。こんなチーム情勢なので、絶対チャンスはあると思うんだよね。先発するなら絶対見るよ。

 

パ・リーグ全体

 最後にすこしだけリーグ全体のおはなしを。

 やっぱソフトバンクが強いね。ほんと強い。勢いとか、一人の選手の活躍とか、そういうものじゃなくて、もっと根本的な「強さ」があるんだよね。倒すためには、かつての田中将大とか大谷翔平のような、スター選手の強烈な活躍をもってしないと無理かも。

 ロッテは好調ですね。全体的に、投打に隙がないんだよね。よほどの誤算が無い限りAクラスは確実になってきている気がします。マーティンがすげえわ。スパンジェンバーグもああなってくれんかな?

 楽天は息切れの様相。大補強の打線はさすがだけど、依然課題は解消されてないよね。怪我が多くコマの揃わない先発陣。リリーフ陣も森原が早々にクローザー失格となり、シャギワもここ最近は苦戦。安樂・宋・牧田への負担が大きそう。Bクラス転落も見えてきただけに、ここで踏ん張らないと苦しそうです。

 日ハムはねえ、いつだって不気味なチームだよねえ。中田翔大田泰示が本当に調子がいいし、先発も比較的安定してるし......。西武は日ハムに大きく負け越してるんだよね。特に杉浦が打てない。杉浦、ストレートがめちゃくちゃ綺麗で本当に良い投手なんだよね。

 オリックスは、監督交代に追い込まれるほどの不振。中嶋監督代行になってすぐは西武がかなり煮え湯を飲まされましたが、その後は元のチーム状況に後戻り。このチームの問題は、監督の采配とかそういう次元じゃないんですよね。もっと根本的な部分にあるというか。個人的には山崎福也選手を応援してます。いいよねあのカーブ。

 

 

 ということで、だらだらと2020年プロ野球の前半戦を振り返りました。いやあ、ソフトバンク強いよねえ。西武にはまだほんの少しチャンスが残されていると思っています。そのためのカギは、若手起用と日本ハム戦にあると思いますが......どうでしょう。まあ、厳しい道だけどね。

 どちらにせよ、若手の活躍はそれだけで見ごたえになる、そんなシーズンです。今期も残り60試合、めげずにあきらめずに、応援していきたいと思います。他球団の好きな選手も活躍してほしいな。F杉浦・Bs山崎・H笠谷。この辺かな。いい選手を見るのが好きです。みなさんのそれぞれ応援するチームはどうですか?野球観戦を楽しめていれば幸いです。

 

 それではまた。

 こばと

こばとんのプレイリスト #1 ベストプレイリスト①

 こんばんは。こばとんです。

 今となってはあまり気軽に記事を更新する感じではなく、かなり整理されたお気持ちを文学的に表明する感じになっている当ブログですが、2018年くらいの構想段階では、もっと気軽に、毎日好きな曲を1曲づつ紹介していくような限局的な使い方をする予定でした。

 もちろん、音楽を聴くことは私にとって大切な営みの一つですし、自分の「好き」を伝えていくというこのブログのコンセプトから言えば、もっともっと書いていきたい内容なのですが、なかなか苦戦しています。

 

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  7月にはこういう企画をやってみたのですが、なかなか難しいよね。好きな曲はもうその曲だけを題材にして力を入れてブログを書けばいいんだけど、そうじゃない曲のおはなしもしたいじゃん。でも、最初に考えて居たような1曲に1記事ではなかなか内容が伴わないし......。

  

 今回は試行錯誤の一環として、普段から行っていることを文字として残してみようかと思います。それは「ベストプレイリストの更新」です。

 私がWalkmanで音楽を聴いていることは既に過去記事でご紹介したかと思いますが、

 

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その中で一つ継続してやっていることがあります。それが「ベストプレイリストの選定」です。今使っているWalkmanのA30には「ブックマーク」という機能があり、本体・MicroSDカードどちらに記録されている楽曲も一緒くたに一つのリストの中にまとめることができます。1~10まであるのですが、2から8までは「嵐ベスト」、「Aqoursベスト」、「私立恵比寿中学ベスト」というようにアーティストごとにまとめられています。そして、1番目のブックマークリストが、Walkmanに入っている全3000曲以上から自分のベスト曲を、100曲を目安にまとめた「こばとんのベストプレイリスト」になっています。

 このベストプレイリストは、ドライブ時や勉強時のBGMなど、選曲に労力をかけられない時に再生するプレイリストで、比較的その時の感情に左右されずにいつでも「好き」な曲をまとめたものです。もちろん私の中でも流行り廃りがありますから、数か月に1回、完全にブックマークリストを全消去して、頭からアルバムを浚っていって、再選定を行っています。

 

 虹ヶ咲学園スクールアイドルの活動がどんどん拡大するなど、自分の中でも音楽の情勢に大きな変化があったので、この度再びプレイリストの更新を行いました。それにあたって、一曲にひとこと二言、どういうところが好きなのかコメントをつけてまとめておこうかな、と思います。どちらかといえば「選手名鑑」的な要素の強い記事ですので、私は忘備録として使いますが、皆さんは適当に読み流したり、気になる曲があったら聴いてみてくれると嬉しいです。あとは「知ってる曲が入ってる~!」みたいなね。好きな曲が被ってたらたくさんお話ししましょ!

 順番に特別な理由はありません。あえて言うなら、基本的には収録アルバム名順になってるかな。また、新譜に関しては、ある程度聴いてからじゃないとこのリストに入ってこないので、反映されていないことがあります。『Just Believe!!』/虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とか、『やさしさの名前』/鈴木愛奈とか、このリストに入ってきそうな新譜がこれから発売されますが、まだこのリストには含みません。

 かなり分量が多くなりそうですので、20曲程度を小分けにお届けすることにします。ベストプレイリストは3回か4回くらいになりそう。以降は、自分の中でプレイリストが更新されたり、新しくハマった曲がまとまってきたら、随時更新するような感じでやってみたいと思います。

 

こばとんのベストプレイリスト①

M1:2つの願い/槇原敬之

 雨の日のアンセム。「僕の笑顔のもとは 何も君だけじゃない」というフレーズは、雨に沈む気持ちに驚くほどすっと入ってくれる。歌詞にもいろいろな解釈があって、角度によって輝きを変える一曲。

 

M2:Step and Go/嵐

 全盛期ながらタイアップが無く地味なシングル曲ですが、魅力はいっぱい。癖になるおしゃれなリズム。それぞれの魅力が生きたソロパート。編曲が本当に好きです。大サビ前の展開は涙が出るほど好き。大野くんの素晴らしい声質のソロパートが光る。

 

M3:truth/嵐

 TVドラマ『魔王』主題歌でしたね。とにかくカッコいい。大野智とかいう顔も声も一級品の天才をどうにかしてくれ。Bメロの、2つのパートに分かれて歌う部分はもちろん好き。ライブ演出も毎回魅力的で、ダンスも見事。ちなみに、音域が広くカラオケで上手に歌うのは至難。

 

M4:Dear Snow/嵐

 映画『大奥』主題歌。降り積もる雪のようなしっとりとしたバラード。見どころは「白く燃える恋は 迷い込んだ風」の大野くんソロ。この曲全体を締める見事な表現力。大野くんの話しかしないじゃんかって?そうだよ。

 

M5:Lotus/嵐

 ピアノで弾いたこともあり、思い出深い一曲。サビの「願いを今 この手に 真実を求めて」っていう歌詞が好き。展開も好きなんですよね。なかなか言葉にして表現するのが難しい部分だけれども。このころの嵐は脂がのりまくっていて、どの曲も本当にクオリティの高い魅力的な曲が揃っています。

 

M6:Love so sweet/嵐

 説明不要でしょう。私はこのCDを買ったことで、初めて自分の音楽世界を切り開くことになりました。それは、その後13年続く嵐との生活の幕開けでもあり、私の世界に音楽を与えてくれるきっかけになったものです。すべての始まりがここにあります。

 

M7:かかわり/TrySail

 渡辺翔さんの『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズ提供曲は名曲ぞろいですが、これもまた名曲です。決してキャッチーではないかもしれませんが、「マギアレコード」のストーリーに終始寄り添い、そのストーリーに華を加え、マギレコのある生活を飽きさせることなく彩った、名曲だと思います。

 

M8:素晴らしき世界/嵐

 最近のブーム。幻のシングル曲。どれか一つを選べないほどに、その歌詞は魅力にあふれ、私たちの背中を押し、勇気を与えてくれます。「僕らは泣いて笑ってそれでも明日を夢見てしまう」。詩的な歌詞が好き。

 

M9:Oh Yeah!/嵐

 嵐のライブに行くのであれば、外せない一曲。この曲が収録された『Time』はとにかく名盤なので、嵐に入門するならそこから入ろうね。コール&レスポンスもあいまって、とにかく盛り上がります。ちなみにちょっとテンポがあがるBメロが好き。

 

M10:Still.../嵐

 嵐ファンに一曲選べと聞いたら、この曲を選ぶファンは多いはず。優しい音色に乗った優しい歌詞。嵐って本当にハーモニーが綺麗なグループだと思うんだけど、この曲はそれを一番良く表しているかも。嵐そのものを歌ったような、それでいて普遍性もある歌詞はあまりにも反則。

 

M11:僕が僕のすべて/嵐

 『Beautiful Days』のB面だったんだよね。「夢に 向かって 悩んで 笑って 笑って」。二回笑ってが入るところが好き。こういう、力強く背中を押してくれるわけでは無いんだけれど、こういうそっと横にいて支えてくれるような応援ソングは、嵐の得意分野だと思います。

 

M12:空中恋愛論/AZALEA

 AZALEAのテクノポップな曲調は全部丸ごと好きなのですが、一曲選ぶならこれ。AZALEAらしい曲調ももちろん魅力的なのですが、この曲ではボーカルの魅力が爆発しています。特に高槻かなこさん。個性を前面に押し出す歌いかたに惚れます。

 

M13:always/嵐

 アルバム『Beautiful World』より。実は嵐のアルバムの中に入っている少し暗い雰囲気の落ち着いた曲には良曲が多く(個人の体感です)、この曲もその一つ。一気に広がるサビがいいなあ。あとは、やっぱりこういう曲の方がボーカルやハーモニーを堪能できるんですよね。

 

M14:Brightest Melody/Aqours

 劇場版ラブライブ!サンシャイン!!挿入曲。『KiRa-KiRa Sensation!』とか、『MIRAI TICKET』とか、『WATER BLUE NEW WORLD』とか、そういうストーリーの最後に持ってくるラブライブ!の曲の集大成のような出来だよね。サビの入りが特に好きです。「きーらきら♪」ってとこね。

 

M15:Brave Freak Out/LiSA

 『紅蓮華』で既存オタクが腰を抜かすようなヒットを飛ばしているLiSAさんですが、個人的ベストはこれ。TVアニメ『クオリディア・コード』主題歌です。作画崩壊など評判の悪かったアニメですが、OPの映像がとにかくかっこよくて、それからこの曲がすっごくかっこいいんだよなあ。OPだけでも見てよ。かっこいいからさあ(語彙力の喪失)。

 

M16:Angel Snow/れみ from STAR☆ANIS

 クリスマスを感じさせる華やかで期待感を煽るサウンド。アップテンポでキャッチーなメロディー。サビ前に効果的に叩き込まれる和音。そう、これが田中秀和の魔法です。可愛くてピュアな歌詞も魅力だけど、「初雪記念のKISS」はさすがに......どうなのよ。とてもこだまさおりさんっぽくて好きだけども。

 

M17:カレンダーガール/わか・ふうり・すなお from STAR☆ANIS

 これも言わずと知れた名曲でしょう。秀和最高傑作。お洒落でトリッキーなのにここまでキャッチーに仕上げるメロディーは芸術だよね。「何てコトない毎日が かけがえないの オトナはそう言うけれど いまいちピンとこないよ」。ほんとそうだよなあ。

 

M18:コネクト/ClariS

 アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』主題歌。アニソンの代表格ですが、普遍的な歌詞に、ここまで見事にストーリーの要素を落とし込んでいるという点では、もっともっと評価されるべき一曲だと思うんですよね。アニメの表現の中に音楽を完全に、高いクオリティーで織り込んでいる。そんな芸術作品です。

 

M19:Wake Up/ClariS

 とにかく可愛い一曲。私、ピュアな恋の曲が大好きなんです。そんな中で、「いつか君が誰かの 特別になるなら」っていう歌詞がほんとうに、いつもはっとさせられるというか......。どんな恋だって期限付きなんですよね。期限付きだからこそ、恋も人生も、煌びやかに輝くのです。

 

M20:Crosswalk/鈴木みのり

 自分の中で根強い評価のある一曲。TVアニメ『あまんちゅ』の2期OP曲です。伊豆が舞台のアニメなんですけど、この曲は伊豆の空気感というか、時間の流れ方というか、そういうのが完璧に表現されていると思います。こういう、全然キャッチーじゃなくておとなしい曲をひどく貶す人がいるけど、私は結構好きです。長く聴いて飽きの来ない曲が多かったりするし。

 

M21:Daydream Warrior/Aqours

 Aqours全曲の中で一番かっこいい曲。曲調もそうだけど、これはライブ映像を見てほしい。アイドル顔負けのキレキレのダンスに、抜群の歌唱力。絶対にイメージが変わるはず。アニメのストーリーとか、2次元とのシンクロとか、そういう曲の「背景」で私たちを感動させるんじゃなくて、さらに言えばコール&レスポンスみたいな会場の一体感で感動するんでもなくて、その曲自体のパフォーマンス100%に「魅せられる」のは端的にすごいと思うの。

 

 

22曲目以降はまた次の機会にしましょう。すっかり長くなったしね。

それではまた。

こばと

23歳のおはなし

 こんばんは。こばとんです。

 私事なのですが(この記事は100%私事しか書かないけど)、今日8月25日は私の誕生日です。アニメキャラならバンドリの今井リサさんと、声優なら駒形友梨さんと一緒ですね。覚えておくんだぞみんな。祝え祝えー。

 おとめ座の16歳JK......と言いたいところですが、私ももう23歳です。そろそろ「めでてえ!」って感じじゃなくなってくるよね。21以降の誕生日は嬉しさも半分だけど、年を取ってしまう悲しさも半分って感じです。もっともっと年を重ねていくと、悲しさは比例して増していくのかな。それとも、割り切りが生まれるのかな。大したイベントもないのに未だに誕生日を楽しみにしてるあたりは、まだ若さでしょうか。

 

 ねえ23だって。やばいよ。もう大人にならなくちゃいけない歳ですよ。私は後述するようにまだ働いていないんですけど、同期はもう社会人1年目。次のステージで活躍するみなさんを、まぶしい目で見ています。私自身がまだ稼いでいないだけに、危機感は人一倍です。

 そういえば、今年広島にドラフト1位指名で入団した森下暢仁投手。1997年8月25日生まれで、生年月日が一緒なんですよね。一年目から一軍で結果を出している彼を陰ながら応援するとともに、その活躍にとても刺激を受けているんですが、一方で同期の活躍は私自身の不安感と焦燥感を煽るところもあります。焦ってもしょうがないんだけどね。私も大物になるぞ-!それでも、「あんたと同い年でこんなに活躍してるなんてね」という親のセリフに対して、反発心ではなくメンタルにクリティカルなダメージが入るようになりました。頑張ろう......。

 まじで人生の未来予想図は一ミリも描けていません。まっさらな白地図です。27で結婚したいとかなんだったんだろうね。結婚とか夢のまた夢とかではなく、思考の範囲外ですわ。あっという間に30とかになってるんじゃない?むーん。計画の策定は急務です。

 

 そんな私は、今は大学院生です。修士1年。歴史学を専攻してるんですよ。知ってました?まだまだ学生の生活を続けています。

 22歳の1年間は、どうだったかなあ、新しい方向性への試行錯誤といった1年間だったでしょうか。このブログでもいろいろ書いたこともありますが、就活をして、結局途中で就活を辞めて院進に決めて、教育実習をして。そんな21歳を承けて、実際に道を歩きだしたような1年間でした。

 といっても、あんまり順風満帆の1年間ではありませんでした。むしろ人生の「凪」っていう感じの1年だったかなあ。

 9月に院試を受けて、ひいひい言いながらやっとのことで合格。たいして身が入らない卒論は、袋小路に迷い込んでやっとのことで提出。切り替えの春休みはコロナですべて流れて、なだれ込むように新学期へ。やっとのことで課題をこなして行くうちに、あっという間に学期が終わって、夏休みへと飛び込んでいきました。

 夏休みが始まると同時に母が骨折して大騒ぎ、いまは家族の家事や祖父の面倒を見たりして、飛ぶように時間は過ぎています。

 修論はほんとにやっばいんだよね。これまでコツコツ努力してこなかったのが悪いんだけどさ。そういう意味では、とにかく23歳の1年は「精算」の1年になりそう。というかしなくては。これまで後回しにしてきた努力も、決断も、もう逃げられない。そんな年です。頑張れるかな。頑張らなくちゃな。

 

 22歳は、そう強いられたっていうこともあるんだけど、すごく内向的な1年でもありました。これまで大学生活では、サークル活動とバイトが7割って感じだったし、旅行とか、外出することがとても多かったからね。

 このブログを始めたのも、そういう経緯からです。いやあ、人間どうしても「この先の人生」のことを考えないといけないじゃないですか。いろいろ考えて、とにかく「文章を書いて」生きていきたいと思ったから、このブログを定期的に連載し始めました。つべこべ言ってるより、とにかく書いていかないと力にならないかな、って思ったから。そういう経緯なので、あまり題材的な統一感はありません。とにかく書いてみる、いろいろやってみる、それだけがテーマなので。

 おかげで、たくさんの人に読んでもらえた記事もありました。自分の書いたものを読んでもらえて、いろんな感想をくれるのは、本当にうれしいことなんだなあ、と痛感しました。なにより、こうやってブログを実際に書いたことで、他にもいろいろ「表現」している人に出会えたのは嬉しかったな。みなさんからいっぱい刺激をもらっています。みんな「熱量」が本当にすごいよね。勝ち負けとかじゃないけど気持ちで負けたくないし、わたしももっともっと頑張ります。

 

 と、いうことで、23歳の抱負を......。

 まずは、とにかく学業面。修士って2年しかないんですよ。超短い!短すぎる!それでも、修士論文というやつをあと1年半で書き上げなくてはならないのですから、これが最優先。ちゃんと書けるか本当に不安だけどね。努力あるのみ。頑張ります。

 と、同時に、今後の自分の進路をもっと具体化せねばならないわけで.......。ブログも引き続き書いていきます。まずはクオリティを少しでも上げていくこと。それから、頻度を下げないこと。意外とこの両立が難しいんだけどね。

 これからも読書日記や音楽、鉄道、歴史に関する様々なことも書いていきますし、ラブライブ!を始めとしたアニメに関する熱い記事もたくさん書いていきたいです。虹のアニメが始まったりして、いっぱい刺激も受け取れそうだしね。大好きをぶちまけていくぞ。旅行記はねえ、書きたいんだけど、この情勢ではなかなか難しいかな。ほんとは大学院生活でもたくさん旅行に行きたかったんだけどね。早くコロナよ収まってくれ。

 それから、これは全く新しい要素ですが、一次創作、あるいは二次創作にも取り組んでいきたいです。表現の幅をもっともっと広げていきたいな。同人誌みたいなのを出すのも楽しそう!他にブログを書いたり、創作をしている人と力を合わせて作ってみるのも面白そうですし......。作詞作曲にも興味はあるけど、そこまで余裕があるかな......?とにかく!できることはどんどんやっていきます!時間のあるうちに!

 

 

 ということで、勝負の23歳です。後悔のなきように、全力を出して、濃密な1年間を駆け抜けていきたいと思っています。どうぞ、暖かい目で見守って、そして応援していただければと思います。

 親愛なる読者のみなさん。皆さんが記事を読んでくださること、いろいろとメンションしてくださることが、ブログを書くことの、さらには人生の活力となっています。いつもほんとうにありがとうございます。このブログを、これからもよろしくお願いします。

 まだまだ未熟者ですが、23歳の一年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 それではまた。

 こばと

輝きの灯はきっと、わたしたちの心の中に

 

 突然の報せ。流石に私もここまでの事態は想定していなかったので、まさに寝耳に水、といった感じでした。

 もう、どう言葉にすればいいかわかりませんが、すこしづつ、いまの気持ちを言葉にしていきたいと思います。

 

夢を乗せる5大ドームツアー

 5大ドームツアー。アーティストにとって一つの金字塔・到達点ともいえる公演。日本全国でものすごい数のファンを動員する必要があるこの壮大ツアーは、東京ドーム公演を成し遂げたAqoursの次のステージとしてはこの上ないものでした。本当に限られたアーティストにしか認められないステージにAqoursがたどり着いたことは、ラブライバーにとっては万感胸に迫るものがあり、とても誇らしく、そして並々ならぬ期待をかけていました。

 しかしこのドームツアーはまた、発表当初から暗雲が立ち込めていたことも確かです。5大ドームツアーが発表されたときには既に、Aqoursだけでなく、すべてのアーティストが新型コロナウイルスによるライブの延期・中止と闘っていました。Aqoursもその影響は大きく、どうにか滑り込みでCYaRon!のユニットライブは公演することができたものの、Guilty Kiss、AZALEAのライブ、そして最後に9人そろっての公演も延期、そして中止に。「新しい生活様式」が叫ばれるなかでも、なかなかライブの実行には至ることができず、ファンとしては辛い我慢の日々が続いていました。

 「三密」を避ける必要から、しばらくの間観客を入れてライブをすることは厳しい情勢になり、無観客で配信をすることでライブを中継するかたちをとるようになりました。Aqoursのドームツアーでも名古屋・埼玉の2公演は早々に無観客有料配信ライブと決まり、残念な思いと、でも感染の心配は無くなるが故のほっとした思いが入り混じっていました。

 しかし、出来る限り開催へと努力を重ねているラブライブ!運営の姿勢は、ひしひしと私たちに伝わってきていました。確かに決断が少し遅いと感じることもありましたが、それはギリギリまでできる限りでの開催に奔走してくれていたということでもあったと思っています。そのために、1月の大阪公演までも中止とするこの思い切った決断は、相当に苦渋の決断であったと思います。ファンと同じくらい、いやそれ以上の辛い決断が、運営やキャスト、私たちに感動を届けてくれる人たちの間で行われたことは間違いありません。それだけに、私はこの決断に異論を唱えることは絶対にしたくないと思っています。普段、彼ら彼女らの並々ならぬ準備と努力によって、私たちは感動をもらっているのですから。

 

ドームツア―はあきらめない

 なにより嬉しかったのは、Aqoursの6th5大ドームツアーは中止になってしまったといえども、発表のなかに「ドームツアーにつきましては、来年以降の開催に向け、引き続き検討を続けて参ります」という文言があったことです。Aqoursが届いたドームツアーの夢は、まだ終わったわけではありません。

 代替公演が「LOST WORLD」と題され、本来のドームツアーとは全く違うものとして行われることも、見逃せず嬉しいポイントです。

 これは、決して完全な形でのドームツアーが不完全なものになったわけではなく、今回の代替公演は全く別のものであるということを意味していると思うのです。Aqoursの「6th LoveLive! DOME TOUR2020」も、各公演についたそれぞれのタイトルも、ポエポエも、みんな適当にどこかにいってしまうのではなくて、ちゃんと「いつかやるもの」として残っている。必ず、時が来たら、Aqours5大ドームツアーをちゃんとやってくれるということを信じています。

 

LOST WORLDへの期待

 一方、代替公演として開催される「LOST WORLD」にも、大きな期待がかかります。とはいっても、まだ明らかになっていないことも多いのですが......。会場はどういう感じで確保してるのでしょうか。ほんらいは東京ドーム公演が予定されていた2日間。中止の理由から考えれば、決して大きな会場で行われることは無いとは思いますが......。

 「LOST WORLD」という思いっきり割り切ったようなタイトルも注目されていますが、私が一番注目している点は「完全に配信を想定して開催されるライブ」であること。それまで予定されていたドームツアーの配信は、あくまでも普通にやるはずのライブを配信に切り替えて行う、という緊急の措置という感の強いものでしたが、はじめから配信を前提にして構築される「LOST WORLD」はきっとセトリや演出もそれに応じたものになるでしょう。もちろん、あまり時間もありませんし、6thへの準備も進んでいたでしょうから、ある程度は6thのセットリストなどを活かした形になるかもしれませんが、それでも期待は尽きません。

 特に「観客がいない」からこその魅力が引き出せればいいな、と思うのです。観客がいないということは、お客さんによる「コール&レスポンス」も存在しません。これが通常のライブとするならば、「一体感」が得られず残念な面もあるかもしれませんが、あくまでも「配信のライブ」と捉えれば、いつもと違った新鮮な形でAqoursの生の歌声を楽しめる、ほんとうに貴重な機会であると思います。

 先日のNHKシブヤノオトでオンエアされた、伊豆三津シーパラダイスでの『恋になりたいAQUARIUM』のパフォーマンスもそうですが、Aqoursは年々そのパフォーマンスの幅を広げていると感じています。アニメとのシンクロだけでなく、抜群の歌唱力・キレキレのダンスなど、どこに持って行っても通用するような基本的な力をしっかりと持っています。それだけに「無観客配信ライブ」という新しい形態でも、Aqoursは期待を裏切らないパフォーマンスを見せてくれる、きっとまた新たなAqoursの魅力に気づくことができると思うのです。

 

いつだって最高の「今」を楽しめ!

 確かに楽しみに楽しみにしていたドームツアーは中止になってしまいましたが、その分「LOST WORLD」でも楽しみなことがいっぱいある。そのような限られた時間を「前向きに」楽しむことは、ラブライブ!が一番教えてくれた大切なことだと思います。

 私も、折角のこの貴重な機会を、いろいろ前向きにとらえて挑戦したいな、と思っています。会場ではなく家でライブを楽しめるからこそ、手元にメモ帳を用意して、一瞬一瞬を忘れないように書き留めれば、いつもは忘れてしまう細かなところも忘れずにいられるかもしれません。ライブが終わったら、各々最高だったポイントを話して感動を共有するのもライブの楽しみのひとつですが、普段はなかなか話題にならないような細かな部分も共有できるかもしれないし、普段は円盤発売まで待たなければならないキャストの細かい動きや表情、歌声、演出を見て、お互い共有することができるかもしれない。私としては、心の温度が高いままに、色んなメモをもとにブログを書いてみようかな、など、様々な楽しみ方を考えています。決して万全ではない「今」でも、「今」は「今」しか楽しめないのです。過ぎていく時間には逆らえません。それなら、「楽しみ方」を見つける方が、きっと幸せだと思うのです。

 

「みんなから18人へ」、輝きを届ける

 これは完全に持論なのですが、「みんなで叶える物語」としながらも、いつも感動をもらってばっかりであった私たちにとって、Aqoursの18人が私たちに輝きを届けるのが難しくなった今こそ、私たちから「輝き」を届ける時なのではないか、と思うのです。

 思い出してほしいのは、5thライブのアンコール。私たちは西武ドームで、決して運営の力を借りることなく、あくまでもファンの気持ちと協力によって、「虹」を描いてAqoursのメンバーに届けることができました。あの瞬間は、ラブライブ!が「みんなで叶える物語」であったということを何より実感させ、会場にいた何万人という人が一つになれた瞬間でした。

 会場でペンライトを握っていなくても、私たちには「輝き」を届けられる場所を沢山持っているはずです。絵を書ける人は絵を描いて、歌を歌える人は歌を歌って、ダンスができる人は踊ることで、文章が書ける人はブログを書いて、Twitterでももちろん大丈夫。今こそ、自分の「好き」を伝えて、Aqoursからこれまでもらってきた幸せを、勇気を、輝きを、私たちが返す番なのではないか。そう思うのです。

 

輝きの灯を絶やさないように

 なにより一番心配なのは、こうやって未曾有の事態に揺さぶられて、混乱の中にあるなかで、「好き」という自分の気持ちが、その炎が消えてしまうことにあると思うのです。好きなことを好きでいつづけるのは、実はとても難しいことです。人間は移り行く生き物です。もちろん決してそれは悪いことではありませんが、本当に好きなものをあきらめてしまうのは、とても悲しく勿体ないことです。

 今私たちにできるのは、誰のせいでもないこの事態の中で、とにかく「耐えること」。どんな事態を迎えたとしても、そんな「今」を楽しんで、いつか夜が明けていつもの日常が返ってくることを信じて、歩くことをやめないことです。

 私たちのなかにある「好き」の炎。そのひとつひとつの灯だって、Aqoursが放つ強烈な光とおなじ「輝き」です。いま私たちができることは、そのひとつひとつの「輝きの灯」を、消してしまわないことです。

 その輝きが再び、5つのドームに集結するとき、Aqoursは再びステージの上で輝くことができるのです。みんなが帰ってこれる場所を守るためには、そしてその場所でもういちどみんなに会うためには、私たちひとりひとりが、私たちの心の中にある、好きという気持ちによって燃える「輝きの灯」を消さないでいることが必要なのだと、そう思います。

 いつかみんなで、揃って、大きな声で、Aqoursのメンバーの目の前で、「好き」の気持ちを心から叫べる、その日まで.......。

 

不思議で魅力的な「無駄」な路線のおはなし

 こんばんは。こばとんです。

 こうやって切り出すのもすっかり久しぶりになりました。久しぶりに「おはなし」カテゴリーの(とても内容のないゆるゆるとした)記事を更新させていただきたいと思います。カロリーの高い記事ばっかりじゃあ書く方も読む方も疲れちゃうもんね。

 もはやあまりに多い私の趣味の中で埋もれてしまっていますが、実は私、すこしばかり鉄分の多いオタクなんです。そんな私ですが、先日こんなツイートをしていました。

 今日は、私が日本で一番好きな路線のひとつである、名古屋の北端を走る、不思議なショートトリップについておはなししましょう。

 

「不思議な鉄道王国」の中京圏

 街にはそれぞれの顔があります。それは鉄道も同じです。

 まさに「正統派」ともいえる東京圏で主に育った私にとって、名古屋を中心とした中京圏はとても不思議な世界でした。

 中京圏には顕著な特徴があります。それは、「圧倒的に車社会であること」。

 東京に住んでいれば、車の必要性は感じないでしょう。むしろ、鉄道・バスといった公共交通機関を使うか、あるいは自転車や徒歩で移動した方が、圧倒的に移動しやすいのが東京という街です。

 東京圏では、車社会はグラデーション状に郊外へと広がっています。放射状に延びる私鉄各線の奥へ行けば行くほど、生活の車依存度は高まります。個人的な感覚では、武蔵野線の内外くらいがそのボーダーラインでしょうか。

 一方中京圏は、まったく事情の異なった社会が広がっています。自動車を積極的に選ばず、公共交通機関で通勤する人は、ごく一部の地域に限られます。それ以外の世界は、圧倒的に車社会が広がります。これは中京圏の大きな特徴です。

 これを最も痛感するのが、名古屋名物スカーレットの電車。名鉄に乗った時です。

 東京、あるいは大阪では、多くの通勤電車は10両を基本編成とします。それか、少し短くて8両。6両編成は、どちらかといえば短いという印象を受けます。

 一方、名鉄に乗ると、6両はぜんぜん普通で、4両みたいな車両が平然と本線を走っていきます。でも、決して鉄道網は未発達なわけでは無く、比較的縦横無尽に鉄道が走っているのです。これは、私にとってはカルチャーショックに近いものがありました。この名古屋の鉄道の雰囲気は、他の都市にはあまりないものです。

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4両で走る名鉄瀬戸線の列車(森下駅にて)

 さらに、鉄道を取り巻く環境が少し特殊な中京圏には、ユニークな路線も多く存在します。

 よく挙げられるものとしては、一つは日本で唯一の専用道を走るガイドウェイバスである「名古屋ガイドウェイバス」、そしてもう一つが、今日おはなしする「城北線」です。

 

城北線に乗る

 東海交通事業城北線は、勝川駅から枇杷島駅の11kmを結ぶ路線です。

 地図を見れば一見、とても利用客の多そうな場所を走っていることが分かるでしょう。ほんらい貨物線として作られた点も含めて、ロケーションは武蔵野線のような感じがします。しかし、その内実は全くもって予想できないようなものなのです。

 城北線がどんな路線なのか、特徴を挙げればきりがありません。

  〇名古屋の市街地を走る、愛知県で唯一の非電化路線

  〇街中を走るのにとんでもないローカル線だし、なんか無駄に複線で高架の上を走

   る

  〇線路はJR東海保有しているのに、運用しているのは子会社の「東海交通事業

   (これを第二種鉄道事業者と呼びます)

  〇異様に悪い他路線との乗り継ぎと、意味不明な場所にある勝川駅

 これだけ聞いても「へえ」となるだけかもしれません。城北線の魅力はどんなところにあるのか、実際に乗ってみることにしましょう。

 

 

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枇杷島駅に停車する城北線の車両

 名古屋駅から大垣行の東海道本線に乗り込み、揺られることわずか一駅。ここが枇杷島駅です。

 幹線の駅らしく、長く広く立派なホームに降り立つと、端っこのホームに気動車が一両、アイドリング音を立てているのが見えます。城北線です。

 エスカレーターを登ってコンコースに出ます。どうも、一度改札を出なくても城北線のホームに行けるようです。なんだ、接続いいじゃん。そう思ってホームに降りていきます。接続がいいのは実はここだけなんだけど。

 しゃちほこをかたどった「城北線」のマーク。「勝川⇔枇杷島」と表示される、短距離路線特有の幕の表示。微妙に汚れた車体。ワンマンの表示。人っ子一人いない車内。オレンジ色の精算機とバスのような運賃表示器。

 ローカル線が大好きな私からすれば最高な車両。ここが名古屋のど真ん中では無くどこかの山の中であるような、そんな錯覚すら起こすようなローカルっぷり。最高ですね。

 発車時刻まで、厚かましくもうろうろと写真を撮りまくっていましたが、乗客が増える気配はありません。ようやく、わずかに数人の乗客をのせると、気動車は大きな音を立てて走り出しました。

 

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枇杷島駅城北線ホームの駅名標JR東海と共通のデザイン。

 

 短い城北線には、駅も数えるほどしかありません。枇杷島を出たら、尾張星の宮・小田井・比良・味美と停まり、終点の勝川へと向かいます。

 地図を見るとわかってもらえると思いますが、これだけの都市部を走る路線ですから、他の路線とも交差します。小田井付近で名鉄犬山線・地下鉄鶴舞線と、味美付近では名鉄小牧線と、それぞれ交差しています。

 しかし、それらの交点には乗換駅が一つも存在しません。単に清々しく無いのであればまだいいのですが、その内容はもっと混迷を極めています。

 小田井駅は、名鉄犬山線・地下鉄鶴舞線上小田井駅とかなり接近していますが、乗り換えを考慮した構造にはなっていません。別個の駅です。とは言っても、そう気合を入れずとも少し歩けば乗り換えはできるでしょう。大目に見積もって10分くらいかな?もっとも、そうするだけの理由は一つもありませんが。

 もっと混乱するのは味美駅です。こちら、名鉄小牧線にも同名の「味美駅」が存在します。しかし、こちらは小田井と上小田井の間より遠くなっています。到底「接続駅」とは言えなさそうです。

 もっと深刻な話をすれば、枇杷島駅付近を除きほぼ全線が高架であるにも関わらず、エレベーターは小田井駅にしかありません(なかったはず、間違ってたらごめん)。これでは、到底お客さんは使ってくれそうにありません。

 極めつけは終着駅の勝川です。ここではJR中央本線と接続しますが、何故か駅は500mほど離れています。ここまで来ると、まるで「この路線を使うんじゃねえ」と、拒絶されているがごとくです。

 城北線勝川駅が離れた位置にあるのには理由がありますが、ここでは長々とご説明するのはやめましょう。簡単に言えば、実はこの路線を作ったのはJR東海ではなく別の会社(正確には公団)で、JR東海2032年まではこの城北線をお金を払って借りていることになっています。2032年以降は城北線は正式にJR東海のものになるのですが、それまでに勝川駅をJRの駅まで伸ばすと、賃貸料も上がる上に建設費もかかります。2032年までの期限付きで、ここ城北線はこの不思議な状態を維持し続けることになるのです。

 ちなみに中央本線勝川駅には、城北線の「導入空間」が用意されています。上下線の間に城北線が入れるように、準備してあるのです。2032年を過ぎたら、ここまで城北線が延びてくることになるのでしょうか。

 

不思議なショートトリップ

 さて、枇杷島駅を発車する時に話を戻しましょう。枇杷島駅を出ると、すぐに城北線の路盤は高くなっていきます。高架の上に出て、すぐに着くのが尾張星の宮駅です。

 「尾張星の宮」と名乗っていますが、他に星の宮駅はありません。じゃあなんで「尾張」ってつけたんだよ。でも「星の宮」って地名、お洒落で好きかも。

 尾張星の宮を出ると、城北線はもっともっと高いところを走るようになります。枇杷島から乗ったのであれば、進行方向右手の車窓を見るといいでしょう。名古屋の街を一望できます。かなり高いところを走るので、爽快感があります。

 ちなみに右側は高速道路(名二環)と完全に並走しているので、防音壁しか見えません。お気をつけて。

 

 尾張星の宮からは、名古屋の街を右手に気動車は小田井・比良・味美と快走していきます。「快走」といっても、たいして速度は出しません。こんなに早く走れそうな、新幹線にも顔負けといった線路の上を、煌びやかな街を見下ろしながら、単行の気動車がトコトコと走っていく。「ノスタルジー」とも少し違うようなわびさびの感覚がここにはあります。夜に乗ってもまたいい雰囲気な気がする。

 

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複線高架非電化という特殊な城北線。景色の良さも相まって、前面展望は魅力いっぱい。

 乗車したのはお昼ごろでしたが、ほとんど乗客はなくガラガラ。はっきり言ってしまえば、こんなちぐはぐで不可思議な「無駄」が、巨大な都市の中心近くに鎮座していることが、とにかく魅力的でしょうがないんですよね。名古屋の街に横たわる壮大な「無駄」は、もはや芸術作品に近いかもしれません。

 

 走ることわずか15分強。単行の気動車は終点の勝川駅に滑り込みます。勝川はホーム一つの簡易な駅。この駅がこれほどまでにそっけないのは前述した通りの理由によります。JRの勝川駅には、階段を降りてから少し歩く必要があります。最後の最後まで、本当に中途半端なところも、もはやご愛敬です。

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勝川駅駅名標

 ところで、城北線に乗るときに改札を通過していませんが、どうもこの城北線交通系ICカードに対応していない様子。なんなら多分全駅どこにも改札がないと思う。運賃を払うことはもちろん問題がないのですが、私のTOICA名古屋駅で入場したっきりの状態。このままでは勝川駅で入場できません。はて、どうしましょうか。

 思い切って降車時に運転手さんに聞いて観ると、どうも日常的に起こっている問題らしく、さっと紙が出てきました。

 

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画像の向きがおかしくてごめん。

 へえ、初めて見たよこんなの。これを勝川駅で見せれば万事解決とのこと。お忙しい中ありがとうございました。運転手さんへの感謝を胸に、JRの勝川駅まで歩きます。

 到着したJR勝川駅は、近年高架化されたこともありとてもきれいで現代的な駅。この駅にいつか城北線が乗りいれる日が来るのでしょうか。

 上下線の間に不自然にあいた城北線用のスペースを眺めていたら、名古屋行きの列車がやってきました。不思議な路線「城北線」の旅は、車窓に離れていく城北線の高架を眺めながら、終わりを告げたのでした。

 

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JR勝川駅

 

 名古屋の街中に存在する、不思議でちぐはぐ、市街地のなかにありながらローカルな鉄道旅を楽しめる。そんな唯一無二の路線「城北線」。

 名古屋に訪れたときには、ぜひ「城北線」でショートでスローなトリップを楽しんでみてはいかがでしょうか。あ、ICカードを使って枇杷島から乗るときはちゃんと一回枇杷島駅で出場するんだよ、二の舞を演じないでね。

 

 それではまた。

 こばと

 

※当記事は、2017年8月に訪れた時の記録を記事にしたものです。現在の状況とは異なる点がある可能性がありますので、ご注意ください。

 新型コロナウイルスの流行につき、旅行される際には十分な感染対策を講じるなど、感染対策に留意した上で楽しく観光しましょう。